先日、中古やさんで物色しておりましたら、ワゴンセールの中に、カール・シューリヒト指揮VPOのブルックナーの交響曲第5番がありました。シューリヒトのブルックナーと言えば、9番が名盤として名高いし、後は3番・8番がEMIからありますよね。それで5番?と思いました。シューリヒトの5番はないわけではなく、1963年2月ムジークフェラインでのライブがAltusから出ています。これと同じかよくわからんが、EMIから出ているってことは、セッション録音があったんかな、とか思いつつ、500円だったので買って帰りました。それで帰宅後、このCDをよく見ると、5番ではなく9番だったんですね。いやはや、5と9を見間違えるとは、なんとも情けない。それほど老眼がすすんだか、とか思いつつ、少々落ち込んだのでありました。EMIのVPOとの9番なら、なんら問題ないですね。とほほ。
ということいで、今回はブルックナーであります。職場の先輩は、このブルックナーがなんとも聴けないというんですね。退屈で長いし、変化がない、マーラーの方がよっぽどいい、ということ。まあ、マーラーとブルックナーは昔は長い交響曲ということで同じように見られましたが、両者はまったく違いますよねえ。林田直樹氏は「懐の深さ」「滔々と流れる大河のような広がりと教会建築に尖塔のような崇光さ」「純粋で汚れがない」を指摘されてますが、そうですねえ。いまさら、ブルックナーがどう良いかそう問題でもないのですが…。
今回は、交響曲第3番ニ短調であります。演奏はマリス・ヤンソンス指揮RCO。2007年2月と2008年8月アムステルダムのコンセルトヘボウでのライブ録音。これは、RCOの自主制作レーベル、RCO LIVEからのもの。SACDです。やはりSACDは音がいい。それも嬉しいことですね。ただこのレーベル、ジャケットが今イチですね。画一的な模様ですが、なんとかならんかね、と思ってしまいます。ヤンソンスのブルックナーは、RCOと3・4・6・7・9番があります。
ヤンソンスの演奏は、非常に整っているというか、もしかしてこの3番の演奏は、もっとも美麗なものではないかと思うのです。それは、まずRCOの演奏。かのハイティンクは、シャイーの時代のRCOの響きは、往年のものとはちがうものになったと言われました。しかし、このヤンソンスのRCOは、極めて美しい、特に弦の響きは一糸乱れぬことなく、極上の響きを聴かせてくれています。加えて、SACDによる音響上の効果も見逃せませんね、そして、ヤンソンスの指揮。過剰な演出はないにしても、醸し出す響きは非常に流麗。そして旋律も十二分に美しく歌わせています。全体的にも、このブルックナーの初期の交響曲を最初から終わりまで、緊張感をもって見事に演奏しきっているのです。 もっと簡単に言うなら、この曲をわかりやすく演奏してくれています。ただ、武骨さであるとか、峻厳さなどとは一線を引いているのも特徴であります。
第1楽章、冒頭からのトランペットの響きの美しさと、それに弦が絡むあたりのバランスもいいし、巧妙な演出で、極めて飽きない演奏になっています。けっこう同じ旋律が繰り返されるが、それも新鮮に聞こえます。第2楽章アダージョ。祈りに満ちた音楽。ここでも全体的にため息のでるほどの美演。テンポも効果的な変化を加え、純度の高い演奏が心に染み込みます。そして、後半の3・4楽章も極めて充実。第3楽章スケルツォ。強音の叫びの主題が心地よく、中間部も軽やかなワルツ風でここもいRCOの響きが素晴らしいですねえ。第4楽章。もしかすると、この楽章が一番いいかもしれません。SACDの録音のよさも合わせて、大音響での素晴らしい効果的な演奏が極上の爽快感を与えてくれます。正に魂のカタルシスでありますねえ。
間違って買ったシューリヒトの9番ですが、手元にはCDとSACDでもあるので、もう一枚あってもしかたないので、ブルックナーを聴かない職場の先輩に謹呈させていただきました。
(RCO LIVE RCO09002 2009年 輸入盤)
ということいで、今回はブルックナーであります。職場の先輩は、このブルックナーがなんとも聴けないというんですね。退屈で長いし、変化がない、マーラーの方がよっぽどいい、ということ。まあ、マーラーとブルックナーは昔は長い交響曲ということで同じように見られましたが、両者はまったく違いますよねえ。林田直樹氏は「懐の深さ」「滔々と流れる大河のような広がりと教会建築に尖塔のような崇光さ」「純粋で汚れがない」を指摘されてますが、そうですねえ。いまさら、ブルックナーがどう良いかそう問題でもないのですが…。
今回は、交響曲第3番ニ短調であります。演奏はマリス・ヤンソンス指揮RCO。2007年2月と2008年8月アムステルダムのコンセルトヘボウでのライブ録音。これは、RCOの自主制作レーベル、RCO LIVEからのもの。SACDです。やはりSACDは音がいい。それも嬉しいことですね。ただこのレーベル、ジャケットが今イチですね。画一的な模様ですが、なんとかならんかね、と思ってしまいます。ヤンソンスのブルックナーは、RCOと3・4・6・7・9番があります。
ヤンソンスの演奏は、非常に整っているというか、もしかしてこの3番の演奏は、もっとも美麗なものではないかと思うのです。それは、まずRCOの演奏。かのハイティンクは、シャイーの時代のRCOの響きは、往年のものとはちがうものになったと言われました。しかし、このヤンソンスのRCOは、極めて美しい、特に弦の響きは一糸乱れぬことなく、極上の響きを聴かせてくれています。加えて、SACDによる音響上の効果も見逃せませんね、そして、ヤンソンスの指揮。過剰な演出はないにしても、醸し出す響きは非常に流麗。そして旋律も十二分に美しく歌わせています。全体的にも、このブルックナーの初期の交響曲を最初から終わりまで、緊張感をもって見事に演奏しきっているのです。 もっと簡単に言うなら、この曲をわかりやすく演奏してくれています。ただ、武骨さであるとか、峻厳さなどとは一線を引いているのも特徴であります。
第1楽章、冒頭からのトランペットの響きの美しさと、それに弦が絡むあたりのバランスもいいし、巧妙な演出で、極めて飽きない演奏になっています。けっこう同じ旋律が繰り返されるが、それも新鮮に聞こえます。第2楽章アダージョ。祈りに満ちた音楽。ここでも全体的にため息のでるほどの美演。テンポも効果的な変化を加え、純度の高い演奏が心に染み込みます。そして、後半の3・4楽章も極めて充実。第3楽章スケルツォ。強音の叫びの主題が心地よく、中間部も軽やかなワルツ風でここもいRCOの響きが素晴らしいですねえ。第4楽章。もしかすると、この楽章が一番いいかもしれません。SACDの録音のよさも合わせて、大音響での素晴らしい効果的な演奏が極上の爽快感を与えてくれます。正に魂のカタルシスでありますねえ。
間違って買ったシューリヒトの9番ですが、手元にはCDとSACDでもあるので、もう一枚あってもしかたないので、ブルックナーを聴かない職場の先輩に謹呈させていただきました。
(RCO LIVE RCO09002 2009年 輸入盤)
ブルックナーはまだまだ続々と新譜が出ますね。
ヤンソンス/RCOのディスクは持っていないのですが、インターネットラジオで夜、床に入って寝入りに聴いています。
RCO WEBRADIOというチャンネルがあるんですね。