昨日、岡山の「VAN SHOP OKAYAMA」が閉店されると聞き及び、最後のセールということで行ってきました。冬のバーゲンの直後でもあり、もう品揃えも少なく、これといったものもなかったのですが、ネクタイを買って帰りました。前の店が閉店して3年。岡山に行く楽しみだったのですが、残念ですねえ。うーん、岡山からVANがなくなるのでしょうか。大阪には梅田にもあるので、まあそっちに行くしかないですかねえ。本当に残念ですねえ。
それはそれとして、一昨年逝去された宇野功芳さんの名著『クラシックの名曲・名盤』(講談社現代新書1989)は、上梓されてもう30年になりますねえ。まだ私も20才台でしたが、大いにその批評に影響を受けたのものでしたねえ。ちょうどCDが今と違ってどんどん出ていた時期でしたし、バブルのころでもありました。その後、続編も3冊ほど出て、それらもよく読んだものでした。CDを買うときのも、その批評は意識しましたよねえ。
その中で、今でも覚えていることはけっこうあるのですが、その中のひとつにモーツァルトの「ピアノ協奏曲第23番のことがあります。宇野氏は「本当をいうと僕の愛してやまぬこの佳曲には理想的な演奏が皆無なのだ」(『協奏曲の名曲・名盤』)とあるんです。私もこの曲は大好きなんですが、そんなもんなんかな、とこの曲を聴く度にこの意見を意識していたのも事実なんですね。そんなことですから、宇野さんは偉大ですよねえ。ほんと。
宇野氏は、内田光子、ハイドシェック、ブーニン、タン、遠山慶子をあげておられますが、例えば、ポリーニ、カーゾン、ケンプなどなどはまったく言及されていません。私も、宇野氏があげた演奏は内田さん以外は聴いたことがなく、詳細はわかりません。ただ、内田光子さんの演奏については、かなり好きであり、今回は内田光子さんとジェフリー・テイト指揮イギリス室内管弦楽団の演奏であります。1986年7月の録音。モーツァルトピアノ協奏曲第23番イ長調K.488です。
私、以前はそれほど内田さんの演奏が好きではなかったんです。ピアノの音色がべたーっと下感じがして…。これは以前にも述べましたが。と言ってもこれまで、9,16.18,27番などを取り上げていました。クリーブランド管との新録音も進んでいますが、これもいいのですが、旧録音であるイギリスCOとの方をよく聴きます。やはりテイトとこのオケがいいですよねえ。この曲、クラリネットとファゴットが2つずつ用いられています。この木管を中心としたオケの演奏が実に深い。実に木管の響きがいいのです。テイトは非常にこのオケから柔らかで、陰影に富んだ表情は、たいそううまいのです。やはりこのところが新盤との差なのかもしれません。内田さんのピアノも深い表情をもっての演奏です。全体的に押さえ気味の印象はあるのですが、それがかえってこの演奏の美しさを際立たせています。全般に憂愁という言葉が似合う演奏ですねえ。
第1楽章、テイトのオケが非常に瑞々しい。木管の音色も実に深い。そして内田さんのピアノ。この楽章ではもう少し明るい表情でもいいと思う。しかし、曲が進むとピアノの情景は変わらないが、それが馴染んできてこれでなくてはならないと思ってしまう。そして、第2楽章、これが絶品ですねえ。内田さんのピアノが心に染み込みます。これほどの深い表情を湛えた演奏他では聴けませんね。それをオケがこれまだ絶妙のサポート。代わる代わるの木管がこれまたいい。そして第3楽章。曲は明るくオケも快活になるが、内田さんはやはり押さえ気味。曲が盛り上がっていく中でテンポの快活になるが、表情は変わらず。とはいえ、愛らしさも加わり、ますまず深みが加わっています。テイトのオケはここでもうまいし、ピアノと一体となって深みのある演奏を展開してくれます。
先週も一週間寒かったです。今週も寒いのでしょうかねえ。
(Phillips 420 187-2 1987年)
それはそれとして、一昨年逝去された宇野功芳さんの名著『クラシックの名曲・名盤』(講談社現代新書1989)は、上梓されてもう30年になりますねえ。まだ私も20才台でしたが、大いにその批評に影響を受けたのものでしたねえ。ちょうどCDが今と違ってどんどん出ていた時期でしたし、バブルのころでもありました。その後、続編も3冊ほど出て、それらもよく読んだものでした。CDを買うときのも、その批評は意識しましたよねえ。
その中で、今でも覚えていることはけっこうあるのですが、その中のひとつにモーツァルトの「ピアノ協奏曲第23番のことがあります。宇野氏は「本当をいうと僕の愛してやまぬこの佳曲には理想的な演奏が皆無なのだ」(『協奏曲の名曲・名盤』)とあるんです。私もこの曲は大好きなんですが、そんなもんなんかな、とこの曲を聴く度にこの意見を意識していたのも事実なんですね。そんなことですから、宇野さんは偉大ですよねえ。ほんと。
宇野氏は、内田光子、ハイドシェック、ブーニン、タン、遠山慶子をあげておられますが、例えば、ポリーニ、カーゾン、ケンプなどなどはまったく言及されていません。私も、宇野氏があげた演奏は内田さん以外は聴いたことがなく、詳細はわかりません。ただ、内田光子さんの演奏については、かなり好きであり、今回は内田光子さんとジェフリー・テイト指揮イギリス室内管弦楽団の演奏であります。1986年7月の録音。モーツァルトピアノ協奏曲第23番イ長調K.488です。
私、以前はそれほど内田さんの演奏が好きではなかったんです。ピアノの音色がべたーっと下感じがして…。これは以前にも述べましたが。と言ってもこれまで、9,16.18,27番などを取り上げていました。クリーブランド管との新録音も進んでいますが、これもいいのですが、旧録音であるイギリスCOとの方をよく聴きます。やはりテイトとこのオケがいいですよねえ。この曲、クラリネットとファゴットが2つずつ用いられています。この木管を中心としたオケの演奏が実に深い。実に木管の響きがいいのです。テイトは非常にこのオケから柔らかで、陰影に富んだ表情は、たいそううまいのです。やはりこのところが新盤との差なのかもしれません。内田さんのピアノも深い表情をもっての演奏です。全体的に押さえ気味の印象はあるのですが、それがかえってこの演奏の美しさを際立たせています。全般に憂愁という言葉が似合う演奏ですねえ。
第1楽章、テイトのオケが非常に瑞々しい。木管の音色も実に深い。そして内田さんのピアノ。この楽章ではもう少し明るい表情でもいいと思う。しかし、曲が進むとピアノの情景は変わらないが、それが馴染んできてこれでなくてはならないと思ってしまう。そして、第2楽章、これが絶品ですねえ。内田さんのピアノが心に染み込みます。これほどの深い表情を湛えた演奏他では聴けませんね。それをオケがこれまだ絶妙のサポート。代わる代わるの木管がこれまたいい。そして第3楽章。曲は明るくオケも快活になるが、内田さんはやはり押さえ気味。曲が盛り上がっていく中でテンポの快活になるが、表情は変わらず。とはいえ、愛らしさも加わり、ますまず深みが加わっています。テイトのオケはここでもうまいし、ピアノと一体となって深みのある演奏を展開してくれます。
先週も一週間寒かったです。今週も寒いのでしょうかねえ。
(Phillips 420 187-2 1987年)
あまり語られませんけど、25番はいかがでしょうか。
この協奏曲は初演が1786年で、この年ベートーヴェンが16歳で初めてウィーンに来てモーツァルトに面会しました。
私の推察ですがこの時にベートーヴェンはこの25番を聴いたのではないかと思っております。