6月6日
2000年のバッハ以来、13年ぶりに
フィリップ・ヘレヴェッヘ率いる
コレギウム・ヴォカーレの演奏会でした(兵庫県立芸術文化センター)。
オケは
「シャンゼリゼ管弦楽団」の
ピリオド楽器でした。
オーボエの
マーシャル・ポンセール&北里孝浩など、コレギウム・ヴォカーレのメンバーと重なっていましたが、ピリオド奏者なので当然でしょう。
いつも小編成の古楽を聴くことが多いので、兵庫県芸の大ホールは初めてでした。
シャンゼリゼ管との演奏は合唱がフランスに拠点を置く
「シャペル・ロワイヤル」が多いのですが、ヘレヴェッヘの家族からスタートしたという理想のバッハ・コーラスを目指して創った
「コレギウム・ヴォカーレ」との合体ということで、合唱が呼び物でもあったと思います。
一部は
「ジュピター」で、従来のモダン・オケのイメージをもって聴くと出だし「速や!」と思った人は私だけではなかったようです。かなりエキサイティングな、でも各セクションの明瞭な響きは、大編成のアンサンブルを聴いたようで、解り易く透明感あるジュピターでした
。アンコールにもう一度、三楽章のメヌエット。マエストロ・ヘレヴェッヘは一見老人に見えますが、身のこなしも軽やかで、以前見た時より愛想もいい感じでした。観客もノリノリだったので、機嫌よく見えました
。
二部はメインの
「レクイエム」でしたが、合唱はバッハを演奏する時の倍の人数でした。
ソプラノとアルト8人ずつがハモる所などは、まるで二人が歌っているようなピッチの揃いようで、オケと合唱の5度音程のハモりなどは、気持ちいいほど決まっている。
やはり従来のアマチュア合唱団などが、モダン・オケでやるような引きずるような重さは全くないので、戸惑った人も多かったみたいです。清涼なスピード感で美しくも、やはり活気のあるレクイエムでした。
ソリストはソプラノが惜しいかな、身体も小さく詰まったような声で、透明感や抜ける感が無いので、死者が天国へ上っていけそうな雰囲気がしませんでした。それ以外は合唱もオケもとても感動的な演奏でした
。アンコールは「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。
マエストロ・ヘレヴェッヘには大変感謝しているといいますか、2000年のバッハ公演の時に連れて来てくださり、レコーディングも沢山している、
マーク・パドモアというテノール歌手に出会えたことでした。マークさんが30代、40代くらいの時の録音でが多く残されていて、きっと指導もとてもされたのではないかと思います。ヘレヴェッヘの録音では、明瞭な発音としっかりした歌い方が多く、マークさんもマエストロにとても感謝していると後に文章で語っています。パドモアさんも今やソロで来日するようになりましたから、日本での顔合わせはもう難しいのかなと思いますが、またお二人揃った演奏会があればいいなと思います
。
J.S.BACH "Mit Fried und Freud" HMX 2951659
H.PURCELL "Odes for Saint Cecillia's Day" HMC 901643
パドモアさん入りのコレギウム・ヴォカーレのお気に入りのCDです。
パーセルでは、他にも
ロビン・ブレイズ、
ピーター・ハーヴェイなど、イギリス人ソリストを機用していて、どちらも言葉と音楽の自然な融合と、合唱の透明感はヘレヴェッヘならではのサウンドです
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