読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

閑古堂の酔眼亭日乗、五月九日及五月十日

2014-05-10 22:40:21 | 美味しいお酒と食べもの、そして食文化本のお噂
五月九日。晴。日中の気温は既に初夏そのものの感じとなるなり。
仕事の後、市内の某ホテルのスパにて汗を流す。脱衣場にて、年の頃初老と思しき男、宮崎にては日曜祝日を店休にする店が多いことを歎きつつ、宮崎の人は馬鹿なり馬鹿なりと頻りに言えり。言っていること自体には頷けるところもありしが、そのように言い募る態度に毫も知性を感じず些か滑稽なり。そも、その夫子自身もその宮崎に住む者の筈なりしが、それを何処かに置き忘れたかのような態度が悲しくもありけり。
スパから出ると時刻は丁度燈刻。繁華街に向かう途中、さる焼鳥店の店先に、あたかも開店を待つかのごとくちょこんと座り込んだ猫の姿を見ゆ。些か疲労せし気分を和ませるものがあり。

その焼鳥店とは別の、余が常連としている焼鳥店に至りて憩う。30種類近くある串焼の中から気の向く儘に選んで食す。主人の手により丁寧に焼かれし串焼の数々は誠に美味なり。

串焼とともに冷奴も注文す。懇意にしている豆腐店より仕入れるというこの店の豆腐は、豊かな大豆の味が口一杯に広がって絶品なり。因みに同じ豆腐店から仕入れる厚揚も、また酒肴として格別のものがあり。

串焼の後は牛もつ煮を注文す。こちらは旨味溢れるもつに味噌仕立の煮汁が絡み、焼酎の友として最上なり。

この焼鳥店の店名を此処に記して広く知らしめたいほどの良店なりしが、主人が自店の宣伝をすることには慎重な姿勢ゆえ此処には記さず。あまり広く知れ渡ると、店の雰囲気を壊す様な客が来ることになるからというのがその理由なり。以前には、他の客の迷惑になる様な客はお断りしているんですよ、という話も聞けり。それもまた一つの見識ならんや。客としては美味な料理や酒のみならず、その店の雰囲気に対しても金を払う故、その雰囲気をしかと守るのは店の価値を高めることにもなれり。現に、この店は真に居心地良く落ち着いて飲食のできる空間として、多くの常連客から支持される存在となりし。余はこの店の常連であることを喜ぶなり。
この夜も、子どもを含む家族連れが座敷で寛ぎ、店内は和気藹々として微笑ましいものがありたり。

焼鳥店を後にして繁華街を散策す。中央通を歩く度に気になる存在であったジェラート店に初めて立ち寄り、ブルーベリーヨーグルトのジェラートを購って食す。爽快な甘酸っぱさが飲んだ後の臓腑に優しく実に佳味なり。

その後バーに立ち寄りしか否かと迷うも、些か飲み過ぎたかのように思われて、結局はそのまま帰宅す。やはり余も、些か酒が弱くなりしか。嗚呼。


五月十日。晴。昼過ぎまで仕事。文庫本の『フェルマーの最終定理』と『サードマン 奇跡の生還へ導く人』を購入して帰宅しようとするも、自転車の前輪がパンクしていることに気付き、職場近くの自転車店にてタイヤを替え、想定外の出費となりし。嗚呼。
帰宅の途中、家の近くのスーパーマーケットにて「綾ワイン」を購入す。先日綾町を訪れた折に立ち寄った、地元の大手酒造会社が運営する「蔵元 綾 酒泉の杜」にて土産に購入しようと思いしが、荷物になるのが億劫で結局は購入を控えし。それが近くのスーパーで売られているのに気付いた故、購入した次第なり。

購入せしは「酒泉の杜」で試飲した折に一番美味と感じられたデラウェアで、甘さと辛さのバランスが取れた飲み口が実に爽快なり。
普段ビールか焼酎ばかりで、長らく自前にてワインを飲むことなかりし故、コルク栓を抜くのに些か四苦八苦せしが、無事に開栓す。時にはワインを飲むのも良きものなり。