珍しく、神戸で歌舞伎公演があるというので行ってみた。
いまラブりん(片岡愛之助)が全国を廻って演じているのです(あなたの街へ行くかも、です)。
出し物は『義経千本桜』。数ある歌舞伎の中でも一大スペクタクル、『菅原伝授手習鑑』と並んで私は大好きです。
さて演目は『道行初音旅(みちゆきはつねのたび)』と『河連法眼館(かわつらほうがんやかた)の段』の2本。
歌舞伎は大抵、見せ場だけ抽出して演じられるるので、大まかなストーリーが頭に入ってないと見てもワカりません。全体の話は『壇ノ浦の合戦後、九郎判官義経が兄頼朝に疎まれて吉野の山に逃れ、静御前に佐藤忠信がつき随う、ところが忠信と思っていたのは源九郎狐(後に義経に名前を貰う)で、静御前の持つ鼓(つづみ)の皮が実は両親の形見、親狐恋しやと静御前につき随っていたのだった』という奇想天外なストーリー。これに頼朝の追手が絡んで、危ないところを狐の通力で切り抜けていきます。
※公演チラシから抜粋です。
【道行初音旅(みちゆきはつねのたび)】
これは良かった。所作もピタリと決まり、流石『松嶋屋!』・・・ラブりんって本当に孝夫さん(十五代目片岡仁左衛門)と血が繋がってナイんでしょうか?もうソックリです(ちょい太めだけど)。壇ノ浦の合戦で忠信の兄が落命するシーンは本当に迫力があって凄みさえ感じました。これだけで来た甲斐があったというものです。
【河連法眼館の段】
これも良かった。ただ、私はイイものを見過ぎてまして、市川猿之助(現、猿翁)とか亀治郎(四代目猿之助)の演る狐忠信を見てしまうと、やや見劣りが・・・地方公演なので『宙乗り(おおお、ケレンだ!)』がナイのは仕方ナイとして、・・・猿之助が演る狐忠信はもはや妖怪の領域、私の知人は『畜生の臭いがする』と言って気持ち悪がったくらいのド迫力がありました。それに比べると、ラブりんの狐忠信は『人間が演じる狐』の域を出ません。しかし、ここまで要求するのは酷だよナア。頑張ってるンですよ。所作もイイし、アクションもド派手、『あの重い躯で!?』と思うくらい見事なんです!まあ本来は松嶋屋の芸ぢゃナイんで・・・。
※正体を顕した源九郎狐を演じるラブりん。
ああ、次は絶対孝夫さんの当たり役『女殺油地獄』を演って欲しい!高麗屋(十代目松本幸四郎)に取られたままじゃダメだからね!
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