吉良吉影は静かに暮らしたい

植物の心のような人生を・・・・、そんな平穏な生活こそ、わたしの目標なのです。

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』2019年アメリカ

2019-12-23 06:02:35 | 映画・ドラマを観て考えよう

 『きっとロクでもない駄作に違いない』という心の声がします。

 しかし私は行かねばならないのです・・・・『おとめくださるな妙信どの!落ちぶれ果てても平手は武士ぢゃああ!・・・これを見逃したら、私の人生の中の42年間は無意味だったということになる!』・・・そういうことなのです。

 20日公開の『スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は堂々たる駄作でした。

※デス・スターの残骸の中で対峙するレイとカイロ・レン

 目新しい展開はなく全てが予定調和による終焉を迎える・・・ああ、もう徹底的に予想を裏切らないのです。

 同窓会のような登場人物全員登場・・・もはやカーテンコールのようなキャスティングです。ハン・ソロが、レイア姫が、ルーク・スカイウォーカーが、チューイーが登場、そしてその登場を嬉しがっている自分がいる・・・どうしようもナイですナア。『圧倒的な帝国の軍勢にも、たったひとつのウィークポイントがある』という『お約束』。なぜか狭い狭いトレンチへ飛び込んで戦うミレニアム・ファルコン号・・・ええ、もはやフーテンの寅さんや水戸黄門にみるマンネリズムとどこが違うというのでしょう。

 ストーリーは・・・暗黒皇帝は生きていた!ヴェイダーにデス・スターのシャフトに抛り込まれ死んだはずの暗黒皇帝は闇のクローン技術によって再生していたのです!(これ、当然予想の範囲内ですよね。何といっても帝国軍にはジャンゴ・フェットのクローンによるストーム・トゥルーパーズが存在するのですから・・・働きアリに使った技術を女王アリに使うのもアリでしょうよ)。スノーク(↓脚註1)もまた暗黒皇帝の傀儡に過ぎなかったのです。

※大空を埋め尽くすスター・デストロイヤーの大艦隊

 暗黒皇帝はスター・デストロイヤーの大艦隊を秘密裡に作り上げ、これを『ファイナル・オーダー』と命名、銀河全体の支配に王手を掛けます。新型のスター・デストロイヤーは、宇宙戦艦ヤマトの波動砲に匹敵するキャノンを搭載し、1隻あれば惑星をも破壊することが可能なのです。銀河の運命は?レイとカイロ・レンによる光と闇の戦いの結末は?・・・という展開です。

 お定まりの展開、お約束通りの結末、保守本流といいますか・・・定跡通りです。安心してご覧になってください。これはそれを楽しむ映画なのです。

 全てが終わった(↓脚註2)後、物語の始まりとなった二重太陽系の惑星タトゥイーンを旅する人物・・・そこはかつてルークが育った家の跡・・・名前を尋ねられたその人物の答えは『スカイウォーカー』。

※タトゥイーンに沈む夕日(エピソード4「新たなる希望」から)

 ここで観ていた私たちも一気に42年前に引き戻されます。

 これは永劫回帰です!いみじくもニーチェが断言したように、神は死んで、時間は永遠の循環を巡るのです。そう考えれば題名の『ザ・ライズ・オヴ・スカイウォーカー』は『スカイウォーカーの夜明け』ではなく『蘇るスカイウォーカー』と訳すべきなのです。あたかも沈んだ太陽が再び昇るように『スカイウォーカー(大空を歩む者)』は蘇り、再び歩き始めるのです。未来に向かって。

 

註1:エピソード8でカイロ・レンに殺された帝国の新しい支配者(スノークと言われると私はどうしてもムーミンを思い出してしまいます)。

註2:帝国が崩壊して、その後はどうなるのでしょうね?共和制が敷かれるのはイイのですが長期政権になって腐敗したりしないのでしょうか?新しい全体主義の台頭はないのでしょうか?私はそっちのほうがむしろ心配です。

今回の私のツッコミどころ

  • 誤ってチューイーを死なせてしまったとレイが嘆き悲しむ場面があるのですが、艦船を破壊するほどのフォースを持ってるのに、チューイーがどの船に乗っているかぐらい感じることができないンですかぁ?
  • レジスタンスに呼応した大艦隊の救援があるのですが、これ、あくまで民間の船でしょう?商船やタンカーがいくら群れても戦艦(スター・デストロイヤー)と戦えるンですかぁ?
  • 暗黒皇帝はコロコロ方針を変えすぎです!レイを後継者にしたいんですか?それとも自分が暗黒面のチカラを取り戻したいんですか?状況に応じて柔軟な対応をといっても限度があるでしょう!

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神戸ルミナリエ[2019]が開催中です(12月5日~12月15日,旧外国人居留地&東遊園地にて開催)。

2019-12-11 07:55:45 | 日々美しいものに触れようよ

 

 阪神大震災で亡くなった方々の鎮魂のために始まった神戸ルミナリエが今年も開催されています。

 入口付近から奥をパチリ!(↓)

 見上げるとこんな感じ。(↓)

 横の壁面も鮮やかに彩られています。(↓)

 通路を抜けていくと奥に次の通路が見えてきます。(↓)

 荘厳な雰囲気です。(↓)

 通路を抜けたところ。横の壁面(↓)

 振り返るとこんな感じ。(↓)

 通路の終端部分。(↓)

 ここから東遊園地。(↓)

 巨大なド-ムが迎えてくれます。(↓)

 噴水もデコレーション!(↓)

 東遊園地ではバンドの生演奏(ライブ)も演ってます。(↓)

 ぜひ、一度ご欄になってください!

 

 

 


スティーヴン・キング原作『ドクター・スリープ』2019年アメリカ

2019-12-03 05:53:00 | 映画・ドラマを観て考えよう

 映画『シャイニング』の40年後を描いた作品・・・というと、あのオーヴァールック・ホテルの怪異を解明する物語かと思うと、思わぬ展開に肩透かしを喰らってしまう・・・そんな映画でした。

 映画『シャイニング』は同じスティーヴン・キング原作の作品でしたが、やはり監督スタンリー・キューブリックの個性が強く出た映画だったのです。恐ろしい惨劇を断片的な映像によって観る者に想像させる点がとても優れていたのだと思います。

 この『ドクター・スリープ』は極めて分かり易く描いた映画で、そこが賛否両論、分かれるところです。

※スティーヴン・キング原作『ドクター・スリープ』2019年アメリカ

 物語は、オーヴァールック・ホテルの惨劇から40年、可愛かったダニー少年も立派な『おっさん』になっています。

 惨劇の後、ハロランさん(↓脚註1)に習った方法で、ホテルに憑りついた悪霊たちを『箱(↓脚註2)』に閉じ込めて悪夢から逃れることができたダニーですが、特異な能力と味わった惨劇の後遺症でマトモな職に就けるはずもなく、アメリカ各地を転々とする日々を送り、今や立派なアル中です。ああ、虐待やアル中は親子連鎖するのです。

 ふとしたきっかけでからバスから降り立ったダニーは、その街のホスピスに介護職として勤務するようになり、老人たちの末期を看取ることになります。ダニーは自分の持つ『能力(↓脚註3)』を使って患者に話し掛けて死の恐怖を和らげ、いつしか『ドクター・スリープ』と呼ばれるようになるのです。

※ダニーは自分と同じ『能力』を持った少女アブラと友達になる。

 このダニーの『能力』に感応した少女アブラと友達になるのですが、この少女が自分の『能力』を使って『殺人を目撃した』とダニーに訴えます。実はこの国には『能力』を持った子供を襲い、その生気を食べて生きる一種の『吸血鬼みたいな集団(↓脚註4)』がいるのです。

 この集団が、カルト集団っぽい様相でチャールズ・マンソン一味を思わせる風体をしているのが面白い。

※謎のカルト集団の一員、ロ-ズ・ザ・ハットを演じるレベッカ・ファーガソン

 『能力』を持った子供を襲い続けないと生きられない集団なのですが、近ごろネットの普及で誰も『能力』を使わないのでナカナカ見つけられないのだとか・・・『吸血鬼』もラクじゃないです。戸籍を偽って生き続けると、普通の社会生活を送ることができず、結局住所不定共同生活のカルト集団に堕ちてしまうのです。『食べ物』が減った結果、この吸血鬼モドキの集団からも、とうとう死者が出てしまいます。『吸血鬼』は死ぬと煙と灰になり、死体も残りません。永く生きている彼らは死ぬことを極端に恐れます。やはり人間、永く生きるより、生きている間に何をしたかの方が大事なのです。

 当然のことながら、この集団は強い『能力』を持つこの少女を狙って動き出します。

 ダニーは友人と協力してこの吸血鬼モドキの集団と対決し、少女を救おうと決心するのです。

※友人ビリー(クリフ・カーティス)はダニーの言葉を信じて『吸血鬼』たちと戦う決心をする。

 ここで映画は吸血鬼映画やゾンビ映画の方向へ大きく振れることになります。

 怪異や悪霊から一転してアクションものに変わってしまいます。ダニーが戦う手段に選んだのは『』です。友人と狩猟用ライフルで待ち伏せてカルト集団を撃ちまくります。アメリカの銃至上主義は人々の心からなかなか消えないのです。

 吸血鬼たちも拳銃で撃ち返してきますが、ライフルの敵ではありません。バタバタと倒れていきます。ダニーの友人も『吸血鬼』たちを次々と撃って倒していくのですが、気を抜いた拍子に『吸血鬼』のひとりに強力な暗示を掛けられて自殺させられてしまいます。ああ、この友達って全くの死に損です。ダニーを庇い(断酒サークルまで紹介してくれます!)借家の保証人にもなってくれたとってもイイ人なのに、とても常識では理解できないような争いに巻き込まれて死ぬって、いったいこの人に何の罪があるというのでしょう。

 アブラの誘拐をやっとのことで阻止したダニーですが、復讐を誓う『吸血鬼』たちのラスボスとなった『ローズ・ザ・ハット』を迎え撃つにあたって、かつての惨劇の地、廃墟となったオーヴァールック・ホテルに舞台を移すことにします。「『能力者』にとって危険な場所は『吸血鬼』にとっても危険なはずだ」というのです。

※かつてオーヴァールック・ホテルで惨殺された双子の姉妹の幽霊・・・キョワイ!

 オーヴァールック・ホテル(の悪霊)を『目覚めさせる』ダニー・・・武器はかつて父親も使った斧()が一振り。

 ダニーは『吸血鬼』のラスボスを倒し、アマラを救うことができるのか!?

※『シャイニング』でも使用された消防用の斧

 前作のことはいったん忘れて楽しめばイイと思います。

  

 

※脚註1)ハロランさんは『能力(シャイニング)』を持った大人で、オーヴァールック・ホテルの惨劇で既に死んでいるのですが、死んでからもジェダイ・マスターのように現れてダニー少年に話し掛け、導いてくれるのです。

※脚註2)『箱』とは心の中に箱を思い描いて、現れた悪霊たちを捕らえて閉じ込めることができるスキルなのです。・・・ダニー少年の心の中はオーヴァールック・ホテルの悪霊たちの棺で今や満ち満ちています。

※脚註3)この『能力』のことを作中では『シャイニング』と呼んでいます。

※脚註3)トビー・フーパー監督『スペースヴァンパイア』みたいな存在と思ってください。血を吸うのではなく、人体の生命力を吸い取って寿命を永らえさせている存在です。