吉良吉影は静かに暮らしたい

植物の心のような人生を・・・・、そんな平穏な生活こそ、わたしの目標なのです。

スタンリー・キューブリック監督『博士の異常な愛情』1964年/アメリカ・イギリス合作

2024-09-18 09:30:00 | 映画・ドラマを観て考えよう
 この記事は2017年8月31日に発表したものを加筆修正したものです。
 2024年9月18日13:00~)NHK-
BSにて放映されたので再掲しました。

 正しい題名は『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』です。



 2017年の放映は北朝鮮によるミサイル発射の翌日という絶妙のタイミングで行われたので、観たヒトも多かったんじゃないかと思います。

 物語は、アメリカ軍基地司令官が妄想に憑りつかれ、警戒中の全爆撃機にソ連への核攻撃命令を出してしまう・・・(ソ連では核攻撃を受けた場合に自動的に爆発する『放射能汚染で地球全体を破滅させる爆弾』なるものを設置している!)。

 「飲料水にフッ素が入っているのは共産主義者の陰謀だ❗」という基地司令官の妄想は今で言う陰謀論に該当するものです。SNS上にこうした誤情報が溢れている現状を予見していたのでしょうか。そう思うと一層現実味が増して感じられます。

 核戦争が始まれば世界は破滅する!・・・何とか核攻撃を止めようと登場人物たちが右往左往する中、ついに命令解除のコードが判明!爆撃機B52の大群はソ連領内から基地へ引き返す・・・・はずだったが、地対空ミサイルによる撃墜を免れ無線装置が壊れた1機が水爆をソ連のICBM基地に投下してしまう。

 映画のラストは水爆が爆発して次々とキノコ雲が立ち上るシーンで終わります。ヴェラ・リーンの印象的な歌が流れる中で・・・。

 また会いましょう
 どこかも知らず
 いつかも分からないけれど
 きっとまた会えるでしょう
 いつか ある晴れた日に





 三役を演じ分けるピーター・セラーズの怪演が見事です。特に大統領がソ連首相とホットラインで会話する一人芝居は絶妙!

いまこそ見直したい映画です。

陸上競技のトラックが左回りなのはなぜ❔

2024-09-07 00:00:00 | 日々の私の主張とか考察とか
 先日NHKの「チコちゃんに叱られる」の放送で「陸上のトラック競技が左回りなのはなぜ?」という質問がありました。
 番組の答えは「右利きが多いから!?」でしたが、私は異論があります。


※「逆転裁判」のワンシーンから

 番組では次のように説明されてます。
 直線を走る時、ヒトは両腕をまっすぐ前方に振る。腕を前方に振ることで足が引っ張られるのです。カーブを曲がるときも、左に回るためには右手を斜め前方に振ると体が引っ張られ自然と左側に傾く。さらに右利きのヒトは左足が軸となるので左に回りやすい。
 なぜ左回りなのかは決定的な決め手はなく、トラック競技が左回りなのはなぜ?には諸説あるのだとか。1つ目は欧米の文字文化説。左から右に書くので視線も左から右に動く。欧米の人は左から右の視線に慣れているので、トラックが左回りという説。2つ目は、人間の心臓が左にあるため重心が左半身にかかりやすいという説。3つ目は戦車競走で武器を持つ右手で攻撃しやすい説。
 ますます分からなくなりました。
※バイクも右コーナーは苦手

 しかーあし‼️バイクはどうなんだ⁉️
 バイクだって右コーナーは苦手なヒトが多い。
 昔、バイク雑誌の投稿ネームで「下り右コーナーの鬼」というのがあったように「右コーナーは苦手」は多くのライダーが実感しています。だが、これも右利き説で解明できるといいます。
 1.軸足の左で踏ん張る方が強く踏ん張れる(実は誤りです/脚註参照)。
 2.操作系が右側に集中している。
 3.左側通行のため右コーナーは逆バンクになる。
 なのだそうです。

※視線をコーナーの先へ先へと送るようにするのがコーナリングの鉄則

 私は脳科学的アプローチで解明してみたい。
 実はニンゲンは左を見る性質があるのではないか❔というものです。

 絵を描くときのことを考えてみましょう。ヒトの横顔を描くとき、どっち向きに描きますか❔
 ほとんどのヒトが左向きに描くのではないでしょうか❔
※横顔を描いてみると大抵は左向き

 名画を観ても左向きが圧倒的に多い(ような気がします)。
※モナリザもやや左向き

 ヒトは左側を見る習性があるのではないでしょうか❔
 右利きだから右肘を中心とした円弧の方が描き易いからでしょうか❔
 いえいえニンゲンは左側を向いた横顔の方がシックリ来るのではないでしょうか❔

 料理だって魚は左に頭を向けて置きます(古来日本では左側を高貴なものとする習慣があった説あり)。

※秋刀魚の美味しい季節になりました

 アニメの世界では「右から来るものは強い」という法則があるそうです。
 例えば「機動戦士ガンダム」の作画に於いてはこのような法則があったのだとか(富野監督談)。

【動きの方向性】
 右から来るものは強い(左に向かうもの)=ふつう。当たり前。自然的に強い印象。
 左から右に向くもの=逆行する印象があるために、そのものが強いという印象。しかし、左にあるだけのものは、安定と下位の印象。
 正面から向こうに行く=当たり前で弱い印象。状況論、総論的印象。
 正面からこちらに来る=訴え印象。自己主張。動きに強制感がある。
 下から上に行く=極度の並行だから強い印象。下にあるままのものは下位。
 上から下に行く=自然的に強い。怖い。圧倒的印象。


※ビームサーベルでゲルググに斬り掛かるガンダム

 どうでしょう❔右を見るのは遡るカンジになるため、左側を見る方が自然なのです。左側には自然と注意が向くようです。
 右から左へ行く流れが一般的なのです。

 舞台でも向かって右側は上手、左側は下手と呼ばれ、自然にこの法則に則っているようです。
 例外は能舞台ですが、考えてみてください。鏡の間(控室)から橋掛かりを通って現れるシテは現世に思いを残した怨霊です。すなわち一時的に「死人が蘇る」のです。これは現実とは真逆の現象ですから、舞台から退くときの方が自然な流れになると考えれば辻褄が合います。

※橋掛かりと能舞台

 格闘技でも構えは大抵相手を左側に見るように構える方が多数派のように思います。ボクシングでも戦いのスタイルは相手をカラダの左側に置いてジャブで応酬し、隙をみて必殺の右ストレートを叩き込むのが一般的です。

※モハメド・アリの左ジャブ

ブルース・リーは自ら考案したジークンドーで「利き側の右腕と右脚で防御と攻撃を一体化する」戦い方を提唱しましたが(残念ながら)一般的なものとはなりませんでした。
※ブルース・リーの構えは利き手の右が前になる

 とりあえず私はこれだけの証拠から「ヒトに左を向く性質があるので陸上競技のトラックは左回りになった」と主張致します。

 ヒトの左側をコントロールするのは主に右脳です。左脳が論理的能力に優れているのに対して、右脳は直感力に優れ空間把握能力が高いとされていまます。
 これが「左側を見やすい」ことに繋がっているのかもしれません。

※眼の神経は顔の真ん中で交差している。

 皆さんの意見をお知らせください。




【脚註】バイクのコーナリングでは外側の足に荷重を掛けるのが原則。「マモラ乗り(↓)」はあくまで特殊な例外です。