さて、昔から金勘定は賎しいワザだと言われていました。江戸時代の身分制度でも士農工商と低く扱われてきましたし、見出し絵画『マタイの召命』でも、現れたイエスに『この賎しい徴税吏を呼んだの❔』と皆が驚いています。
しかし、金勘定はとても大事なコトなのです。TVドラマ『鎌倉殿の13人』で有名になった北条義時も普段は米蔵で俵を数えてばかりいたそうです。
最も身近な金勘定は家計簿です。
家計簿は現金の出納を記録する単式簿記です。これでも立派に役に立つのですが、これを厳密に組み立てたものが複式簿記です。一般に『簿記』と言うのは、この複式簿記を指しています。
複式簿記の考えは『すべての取引は等価交換である』です。何かを手に入れるには必ず対価を支払わねばなりません。
これを表すのに『借方/貸方』という概念を使います。馴染みのない言葉ですが、英語にすると借方はデビット、貸方はクレジットです。預金から直接支払うのがデビットカード、いったん借金して後払いするのがクレジットカードですから、こう言われれば『なるほど‼️』と納得できるのではないでしょうか❔
『借方』は『左』とも言います。
『貸方』は『右』とも言います。
資産を例にするのが分かり易いのですが『手に入ったもの』を左に、『手放したもの』を右に記入し、必ず左右は等しくなります。そう『等価交換』です。
『3人が百円づつ出してパシリに渡し250円のタバコを買ってこさせた』は。
タバコ 250 / 現 金 300
現 金 50 /
となるはずでした(タバコなんて勘定科目はありませんが、そこは見逃してネ💦)。当然おつりは50円です。
パシリが30円しかおつりを返さなかったら、左の現金が30しかないことになるので20円辻褄をつけることになります。パシリが20円お駄賃を取っても仕方ないとするならば、
タバコ 250 / 現 金 300
現 金 30 /
雑 給 20 /
と処理する。何の不思議もありません。
簿記は結果で記帳して構わないので、正式には次のように記載します。
タバコ 250 / 現 金 270
雑 給 20
はい、支払った270円と、手に入った250円分の資産(タバコ)との差額が20円。
当たり前ですね。
こう考えて取引を処理するアタマがあればモノゴトの見方が変わるはずです。
(次回につづく)