吉良吉影は静かに暮らしたい

植物の心のような人生を・・・・、そんな平穏な生活こそ、わたしの目標なのです。

スタンリー・キューブリック監督『博士の異常な愛情』1964年/アメリカ・イギリス合作

2017-08-31 08:21:45 | 映画・ドラマを観て考えよう
 正しい題名は『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』です。



 北朝鮮によるミサイル発射の翌日という絶妙のタイミングで再放送されたので、観たヒトも多かったんじゃないかと思います。

 物語は、アメリカ軍基地司令官が妄想に憑りつかれ、警戒中の全爆撃機にソ連への核攻撃命令を出してしまう・・・(ソ連では核攻撃を受けた場合に自動的に爆発する『放射能汚染で地球全体を破滅させる爆弾』なるものを設置している!)。
 核戦争が始まれば世界は破滅する!・・・何とか核攻撃を止めようと登場人物たちが右往左往する中、ついに命令解除のコードが判明!爆撃機B52の大群はソ連領内から基地へ引き返す・・・・はずだったが、地対空ミサイルによる撃墜を免れ無線装置が壊れた1機が水爆をソ連のICBM基地に投下してしまう。

 映画のラストは水爆が爆発して次々とキノコ雲が立ち上るシーンで終わります。ヴェラ・リーンの印象的な歌が流れる中で・・・。

 また会いましょう
 どこかも知らず
 いつかも分からないけれど
 きっとまた会えるでしょう
 いつか ある晴れた日に




 三役を演じ分けるピーター・セラーズの怪演が見事です。特に大統領がソ連首相とホットラインで会話する一人芝居は絶妙!

いまこそ見直したい映画です。

北朝鮮の弾道ミサイル発射に思うこと。

2017-08-29 08:36:19 | 日々の私の主張とか考察とか

 今日、午前5時57分頃、北朝鮮が平壌近郊の順安地区から弾道ミサイル(?)を発射、これが日本上空を通過し太平洋上に落下(?)したとの報道があった。この時期になぜ?とも思うが、どうやら近距離ミサイルの模様で『3つに分かれて』との報道からは『3発同時発射』なのか『空中分解』なのかは、今のところハッキリしていない。


 北朝鮮がワケの分からない行動を取るのは毎度のことですが、今回の事件で得をしたのは誰かと考えると、ドナルド・トランプと安倍晋三ではないのか?


 トランプ大統領の就任以降、人種差別問題やら経済政策の不調で国が二つに分裂しかねないアメリカは、国外に共通の敵、しかも差し迫った脅威を設定できる。この事件をきっかけに国内問題から、しばらく国民の目を逸らせることができる可能性がある。


 安倍首相は昭恵問題や森友学園および加計学園問題をウヤムヤにする機会を得ることができたと喜んでいるだろうし、自衛隊の合憲化や日本の再軍備と憲法九条問題についてまたぞろ議論を蒸し返そうとする短絡的な輩が輩出することは目に見えている。

 そう考えれば『トランプ大統領が北朝鮮に頼んでミサイルを発射させている』のかもしれない(流石にそれはナイと思いますが・・・)。今回の事件では『中国およびロシアがどう反応するか?』に注意を払いたい。国連決議による経済制裁の行方に注目するべきだと考えます。

 我々はこういう時こそ冷静に判断しなくてはならない。
 配備されたイージス艦やPAC3は何の役に立ったのか?軍事力を増強しても問題は解決しない。
 最低限の備えは必要かも知れないが、軍備ではなく、外交で解決しなければならない問題なのです。

 


『怖い絵』展(7月22日(土)~9月18日(月)/兵庫県立美術館)

2017-08-24 18:52:30 | 日々美しいものに触れようよ
 『怖い絵』展って・・・題名からして『お盆に合わせて怖い絵を展示したら、お客が入るんじゃないか?』という美術館にあるまじき展覧会のようですが、行ってビックリ!お盆も明けた平日だというの大変な人気!!!凄く混んでます。

 入口には作品を題材にした展示が(背景が丸い鏡になっていて、オデュッセウスのように自分も写ることができます)・・・。

※ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス『オデュッセウスに杯を差し出すキルケー
 ・・・・・うかうかと盃の中身を飲むと動物に変えられてしまう(足元に一匹転がってます)。
 

 垂れ幕はホガースの『ビール街』と、


 同じくホガースで『ジン横丁


 『ビールを飲めば神に祝福され、ジンを飲めば地獄行き』なのだとか。

 子供向けのパンフレットには『あなたはどちらの町に住みたいですか?』と書いてある。
 『ジン横丁に住みたい!』なんて子供がいたらどうするんだ!?『将来の夢は悪の帝王モリアーティ教授です!』とか言いそうです。

 もう気が付いた方も多いと思いますが、これは中野京子のベストセラー『怖い絵』シリーズで紹介された作品を集めた展覧会なのです。

 最初気づかずに、お盆向けのキワモノじゃないか?なんて思いながら入ったのですが、観てビックリ!大変充実した展示です。
 特に『幻想絵画好きにはタマらん!』企画で、メインに紹介されている絵画以外にも重要な作品を原画で観ることができるので、これはぜひ行くべきです!!!

 今回の目玉はコレです。16歳で処刑されたイングランド最初の女王。

※ポール・ドラローシュ『レディ・ジェーン・グレイの処刑』

 ルドンの幻想絵画はイイですよ。ボードレールの詩集『悪の華』の挿絵も手掛けてます。

※オディロン・ルドン『眼=気球』

 何とモローの作品も来てます!!!

※ギュスターヴ・モロー『ソドムの天使』
 ・・・神はソドムの都を硫黄の火で焼き尽くした・・・『ソドムの街を振り返り見しロトの妻は、塩の柱となりにけり』


 どうです、実に豪華! ビアズリーの『サロメ』挿絵や、マックス・クリンガーの連作版画『手袋』シリーズ、そして模写でこそあるものの、ベックリンの『死の島』まである!


※オーブリー・ビアズリー『ダンサーへの報酬』・・・銀の盆に載せられたヨハネの首


※マックス・クリンガーの連作版画『手袋』から・・・拾った手袋が様々に変貌する。


※アルノルト・ベックリン『死の島』・・・これはオリジナル版(展示は模写版です)。

 学芸員が頑張ってます!拍手!

 兵庫での展示が終わったら上野の森美術館(10月7日~12月17日)へ行くそうです。お見逃しなく!


トランスフォーマー『最後の騎士王』(2017年/アメリカ)

2017-08-21 18:11:06 | 映画・ドラマを観て考えよう

 観終わって『アメリカ人ってのはアタマの芯までワいてるんじゃないか!?』と思いました。

 この場合の『ワいてる』てのは、例えば日当たりの強いところにお弁当なんかを置いておくと、熱をもってちょっとイタんだ感じになったとき『ワいてる』って形容する、あの状態のことです(方言かも?)。

 こいつらときたら『仲間や家族が心をひとつに頑張れば出来ないことはない』って本当に信じてる奴ばかりなんです。実に始末が悪いとしか言いようがありません。

 今回も『そんなの絶対ムリ!ムリ!』という状況を、さんざんひっくり返してくれます。

 ディセプティコンとの闘いが一段落し、正義のオートボットのリーダーである『オプティマス・プライム』が地球を離れている間に、地球は人類の対オートボット機関『TRF』によって一応の秩序を取り戻しています。ただし『TRF』はオートボット全体を敵と見做しているので、善良なオートボット達も姿を潜め、隠れるように暮している、これが今回のバックグラウンドになってます。

 ①最初期のオートボットから『
タリスマン』なる部品を託された主人公が『マーリンの杖』を探してイギリスへ、②故郷の星で創造主(?)を名乗る存在に洗脳されたオプティマス・プライムが故郷の星を復活させるため『マーリンの杖』を奪いに戻ってくる、③対オートボット機関『TRF』はあろうことか悪のオートボット軍団『ディセプティコン』と手を結んで『マーリンの杖』を手に入れようとする、という三つ巴の争いに突入しちゃう訳なんですが、今までのシリーズを観てない人は、とてもついて行けなかったんじゃないかと思います。


『オプティマス・プライム』改め『ネメシス・プライム』

 物語の鍵となる『マーリンの杖』とは、『アーサー王円卓の騎士はオートボットだった!?』という偽史が語られる中で『オートボットを指揮する杖であると同時に地球を破滅させる力を持つ』というその機能が説明されるのですが・・・。

 後半『実に都合良くオプティマス・プライムの洗脳が解け、TRFと共闘して、創造主を騙(かた)っていたクインテッサと戦う・・・』って、ご都合主義の極みには(毎回のことですが)私にはちょっと耐えられなかったです。


 ※地球を破滅させようとするクインテッサ

 ま、CGによる特撮が素晴らしいので、それを観に来たと思えばいいか。

 映像的には、とてもイイ出来なので楽しめます。まったく後に何も残らない映画ですが・・・。



 あと、気が付いたことをいくつか書きます。

 ①.原題を見るかぎり『最後の騎士王』ではなく、正しくは『最後の騎士』ですね。

 ②.洗脳された『オプティマス・プライム』が名乗る『ネメシス』とは『復讐の女神』の意味です。

 ※復讐の女神『ネメシス』(アルブレヒト・デューラーによる)

 ③.惑星同士があれだけ近づくと『ロシュの限界』を超えて破壊されてしまうのでは?

 ④.いくらオートボットとはいえ『ママ!』と慕ってくれる子供を戦場に行かせちゃイカンでしょ!

 ※健気に頑張る『スクィークス』ちゃん。

 ⑤.オスプレイはとっても危険です!映画の中でもバンバン墜落してました!即時飛行停止を求めるべきです!


映画『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』・・・観てきました。

2017-08-15 08:31:55 | 映画・ドラマを観て考えよう

 評価が極端に分かれる映画『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』ですが、私が観た感想は『良く出来ていた』なのです。



 精神力を実体化する『スタンド』の映像化は成功だと思いますし、心配したキャストも『それなり』でした。
 ただ『忠実にコミックを実写化した』のはイイとして、せっかく映画を観に来たファンに『それ以上のもの』を提供出来なかったのが残念な点ではナイでしょうか?



 ファンとは強欲なものなンです。

 スタンドのデザインにしてもコミックそのままではなく『実写版ならではのデザイン(リアルタイプのスタンド)』をもっと追及した方が良かったし、ストーリーもオリジナルな部分を加えた方がイイ。その方がファンは『(カンバーバッチ版シャーロックのように)あ、別のシリーズのアレから引用だな』とか楽しめたと思う。

 あと、セリフが説明的に過ぎたなぁ。初めて『ジョジョ』を観る人のためには仕方ないのかも知れませんが『シリーズ累計1億部』なんでしょう?『読んでから来なさい』ってスタンスでも良かったのでは?

 キャストは小松菜奈の山岸由花子と伊勢谷友介の空条承太郎以外は及第です。
 小松菜奈は山岸由花子の不気味さを秘めた好意は演じ切れなかったし、伊勢谷友介はその扮装だけでもはや吹き出すようなシロモノでした。
 空条承太郎は大胆にダークスーツ姿(精一杯譲ってズートスーツか?)にしても良かったのでは?
 それ以上にあの『北面の武士』みたいなカツラはどうよ!?

 『勇者ヨシヒコ(を、かつて熱演した山田孝之)』は今回のピカイチ!怪演に拍手!


 次点は『虹村億泰(真剣佑)』か?次回以降のアクションにも期待!


 岡田クンはもう出ないのね~!!!残念~!!!


 『虹村形兆(岡田将生)』を襲いに登場したのが『シアー・ハート・アタック』だったのにはビックリ!

※熱源を感知して攻撃する自動追尾型スタンド『シアー・ハート・アタック』!
 
 やっぱ承太郎のこの服、この髪型はナイだろっ!


 いずれにしても『コミックに忠実過ぎるのは考えものだ』と思った実写化でした。やれやれだぜ。