笠岡市笠岡
笠岡の同級生の思い出話・「赤い着物の洗濯物があり、前を早足で通り過ぎていた」
忠海の同級生の思い出話・「最後の日、赤い着物を海に流して(女は町から)去った」
義兄の思い出話(当時大阪の大学生)・「その日は寮生全員で飛田(とびた)に繰り出して、寮はからっぽになった」
おじの想い出話(小学校の同級生の出世頭、六月さんのこと)・「独身の時、小学校の同窓会か笠岡であった。その時、いっしょに伏越の遊郭へ行った」
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赤線の火消ゆ 昭和33年3月15日 ~天声人語~ 荒垣秀雄
”赤線”の日は、きょう十五日で全国的に消える。
売春防止法の完全実施は四月一日からだが、実質的には今日が日本の社会風俗史の上で画期的な日になる。
業者も転廃業には生活上いろいろな苦心もあったろうが、その反面、
恥ずかしい商売をサラリとやめて子供たちの顔をまともに見られ、気持ちもせいせいすることだろう。
ところがグレン隊などの暴力団が、赤線で足を洗った女たちをかき集めて、秘密組織のもぐりの売春をやらせる傾向も目立っているという。
そんなことになっては”抱え主”が業者から暴力団にとって代わっただけということになりかねない。
女たちも”解放”とは名のみで、かえって不幸なことになる。
赤線地帯が消滅すると、性病の検診も人権上できないわけだが、これが野放しになって社会にまんえんしたら大変なことになる。
この予防対策に万全の措置を講じなければ、売春防止法もかえって”悪法”のそしりを免れない。
とにかく赤線は掃除されたが、待合や芸者置屋はどうなのかとの声も出てきている。
安直なのだけがいけなくて、高い金のかかる方は”自由恋愛の宿”でよいのかと、
そちらに風向きが変わってくるかもしれない。
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売春汚職 昭和32年10月18日 ~天声人語~ 荒垣秀雄
耳を洗いたくなるような汚い話だが、
売春汚職というのが登場してきた。
売春婦が体を売った金、それをピンハネした売春業者の金までもらうとは、
国会議員の操も落ちぶれたものである。
”全国性病予防自治会”というと聞こえはよいが、赤線業者の組合である。
全国一万数千軒の業者から”非常対策費”として集められた金が数千万円といわれる。
それが自民党の真鍋代議士はじめ多数の国会議員に贈賄されたとの疑いである。
かなり露骨な議員抱き込み工作が行われたことが察せられる。
売春防止法の成立後は、
実施の延期や転廃業の国家補償、転業資金の特別融資などの運動に金がばらまかれたものらしい。
この期に及んでも赤線業界がジタバタ狂奔するのは、政府与党にも罪がある。
来春の完全実施を遅らすような思わせぶりをする政治家がいるからだ。
売春の金で政治の操を売るような面汚しの議員を出した政党は除名処分にでもせずばなるまい。
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”売春する権利” 昭和31年1月14日 ~天声人語~ 荒垣秀雄
生きるために、”売春する権利”という旗じるしをたてて、
東京の赤線地域の従業婦組合が結成されたそうだ。
売春防止法が成立したら、「わたしたちはどうして生きていけるのですか」とのさけびをあげたというのだ。
この組合結成大会では、「売春は職業である」と強調されたそうだ。
今までは事実そうだった。
これからは国家の名において、公序良俗のために、
売春を職業でなくしようというのである。
赤線の女性たちよ。
”売春する権利”などと、お芝居の台詞なら面白いが、
おだてにのって、
人間としての大切なものを見失わないよう、気をつけなさい。
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売春史の革命 昭和30年10月9日 ~天声人語~ 荒垣秀雄
「人身売買にからむ前借金は無効」という新判例が最高裁によって下された。
近来の名判決である。
売春奴隷売買の汚れた身代金よりも、人間の方が尊貴であることが、やっと認められた。
今までは前借の手かせ足かせで泥沼を抜け出ることはできなかった。
置屋の借金をふみ倒して逃げた芸者酌婦は詐欺で訴えられて、警察に捕まるのがオチだった。
公序良俗に反する人身売買の前借金は無効帳消しと認められた。
女性解放の鎖が一つ断ち切られた。
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否決された売春防止法案 昭和30年7月21日 ~天声人語~ 荒垣秀雄
またも売春業者に凱歌をあげさせることになった。
売春等処罰法案が衆院法務員会で否決となったからだ。
これからも、全国の赤線、青線区域は繁盛することだろう。
これで五度目の敗退である。
いかし今までと違うことが一つある。
過去四回は審議未了などでいつもうやむやのうちに葬られた。
採決にまでもっていったのはこんどが初めてだ。
世論がやかましかっただけに、引き延ばしや握りつぶしでは、すまされなくなったのである。
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