しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

南京虐殺(小説より)

2021年08月01日 | 昭和11年~15年
城山三郎「落日燃ゆ」新潮社より転記


「落日燃ゆ」

朝香宮がが司令官として着任され、まだ十日と経たない中での出来事だった。

南京に突入した日本軍は、数万の捕虜の処置に困って大量虐殺をはじめたのをきっかけに、殺人・強姦・略奪・暴行・放火などの残虐行為をくりひろげた。
市内はほとんど廃墟同然で、逃げ遅れた約二十万人の市民が外国人居住区に避難。
ここでは、約三十人のアメリカ人やドイツ人が安全地帯国際委員会を組織していた。
残虐行為はこの地区の内外で 起こり、これを日夜目撃した外国人たちは、その詳報を記録し、日本側出先に手渡すとともに、各国に公表。
日本の新聞には出なかったが、世界中で関心を集めていた。

現地から詳細な報告が届くと、広田はまた杉山陸相に抗議し、陸軍省事務局に強い抗議を繰り返した。
朝香宮は外務省に広田を訪ね、広田に詫びた。
現地南京では、ようやく軍規の立て直しが行われ、軍法会議も行われた。

主力部隊は中国の奥地めがけて進発した。
戦局は拡大されて行く。行く先々に日の丸がひらめき、「万歳!」の声が上がる。
それは和平をいよいよ遠のかせる声でもあった。




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