高校の修学旅行は「東京」と「九州」の二つのコースがあり、自由選択だった。
東京は「東京・日光」が恒例だったが、どういう訳か自分の年は「東京・信州」で日光に行けなかった。
当時は、関西以西に住む人にとって、日光は旅行地として北限だった。
当時は、「日光見ずにけっこーゆうな」と言われていた。
自分も、はやく一度日光を見て、一人前に「けっこうじゃなあ」と言う事を言ってみたかった。
それから数十年を経て、やっと日光に行く機会があった。
日光は、感激するほどきれいな「けっこー」なところだったが、
腰を抜かすほど見物料が高かった。
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旅の場所・栃木県日光市二荒山神社・日光東照宮
旅の日・2004年6月26日
書名・奥の細道
原作者・松尾芭蕉
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「わたしの芭蕉」 加賀乙彦 講談社 2020年発行
あらたうと青葉若葉の日の光
『おくのほそ道』に出てくる一句であるが、これを作るにも苦労があった。
「日の光」は日光という場所を指すとともに、現実の太陽光ともとれる二重表現である。
これは日光東照宮への挨拶句でもある。
新緑の森を、青葉の新鮮な緑と若葉の黄金色に分かち書きにして、
天の与えた美景を十全に表現した俳句になった。
日本語の表現の美にうっとりとさせられる。
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「奥の細道の旅」 講談社 1989年発行
あらたうと青葉若葉の日の光
四月一日東照宮に「詣拝」した時の吟である。
季語は「若葉」で初夏四月。
ああ、まことに尊く感じられることよ。
この青葉若葉が降りそそぐ日の光に輝いている様子は、の意。
「日の光」は、初夏の太陽光線であるとともに、地名の日光を詠みこんだものであるが、
東照権現・徳川幕府の威徳に対する賛嘆の気持ちもこめられている。
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「芭蕉物語」 麻生磯次 新潮社 昭和50年発行
あらたふと青葉若葉の日の光
この句には東照宮を讃美する気持がふくまれている。
徳川家の御威光が八荒にあふれ輝いている。
尊いことだ有難いことだと、偉人の恩沢を讃美しているのである。
それから東照宮の荘厳な建物を讃美する気持も含まれている。
青葉若葉につつまれた東照宮が金碧燦爛と輝き、その上に初夏の日がまぶしく降りそそいでいる。
りっぱなことだ、尊いことだといっているのである。
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