里の家ファーム

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園地を開放しております。
自然の中に身を置いてみませんか?

山の日に・・・

2016年08月11日 | 日記・エッセイ・コラム

 昔はよく一人でも登山に出掛けたものだ。しかし、最近では体力的に自信がなくなり、もう何年もご無沙汰状態だ。今はもっぱら山歩きだ。山菜を採ったり、木の実を採ったり、キノコを採ったり、その他植物を眺めたり、山の色々なものを眺めながら歩く。
 今日は家の裏にある山ブドウを見てきた。

結構なっている。昨年もたくさん実をつけていたが黒くなった途端、鳥たちが食べつくしてしまった。さて、今年は無事に収穫できるだろうか。


引きこもり、死の淵から復活した男性の軌跡

2016年08月11日 | うつ・ひきこもり

引きこもり、死の淵から復活した男性の軌跡

2016年8月9日 林公一 / 精神科医

 

100人に1人が発症 「統合失調症」の真実【4】

 かつては不治の病だった統合失調症ですが、現代では有効な治療法があります。たとえ発症した当初は病気だと理解できなくても、治療を受ければ回復し、普通に社会生活を送ることも期待できます。今回はそんな方の体験談をご紹介します。

発症から15年 安定した社会生活へ

 僕はいま39歳ですが、24歳のとき統合失調症を発症しました。はじめはなんとなく周りの人から監視されているような不気味な感じから始まり、そのうちに複数の人が自分に対して陰謀をたくらんでいると確信するようになりました。そう確信したとき、それまでの不気味な雰囲気の真実がすべてわかったと、電撃のようにひらめいたことを覚えています。

 それからまもなく「こいつが〜〜(〜〜の部分はよくわかりませんでした)」「殺してやろう」などの幻聴が聞こえ始めました。いま思えば幻聴だったということははっきりわかるのですが、当時は本当の声だと信じていました。こういう声が聞こえることが、陰謀が事実である証しだというふうにも考えていました。さらに、部屋や車に盗聴器が仕掛けられている、監視カメラで常に監視されていると感じられました。自分は孤立無援で殺されるに違いないと思い、自殺を図りました。殺されることを恐れて自殺するというのも、いま思えば妙な話ですが、当時はそんな理性的な考え方ができる状態ではありませんでした。

 それから間もなく怒鳴ったり暴れたりして手がつけられなくなり、親に病院へ連れて行かれ閉鎖病棟に強制入院(医療保護入院)となりました。入院した当初は、病院の医師も陰謀団とグルで、自分は薬で殺されると思い、恐怖に震えていましたが、3カ月ほど入院して薬を飲むうちに症状がおさまりました。

 退院後はさらに調子が良くなったのでもう治ったと思って勝手に断薬をし、2回再発してその2回とも強制入院になりました。今は1日1錠の薬を欠かさず飲むことで非常に安定し、仕事にも休まず行っています。

漠然とした恐怖から引きこもりに

 統合失調症では、脳の中でドーパミンという物質を通じて情報伝達を行う神経経路が変調をきたしていることが今ではわかっており、薬でこの変調を正常化することで、統合失調症を治療することができます。

 この方の現在までの経過を簡単に振り返りながら、解説します。

・「はじめはなんとなく周りの人から監視されているような不気味な感じから始まり」

 このような漠然とした恐怖を感じて引きこもるというのが、発症の典型的な一つのパターンです。

・「そのうちに複数の人が自分に対して陰謀をたくらんでいると確信するようになりました」

 漠然とした恐怖が被害妄想という症状に結実しています。

・「それからまもなく『こいつが〜〜』『殺してやろう』などの幻聴が聞こえ始めました。いま思えば幻聴だったということははっきりわかるのですが、当時は本当の声だと信じていました」

 被害妄想的な内容の幻聴です。治療を受ける前は、本当の声だと思っておびえるのが普通です。

・「部屋や車に盗聴器が仕掛けられている、監視カメラで常に監視されていると感じられました」

 典型的な被害妄想です。業者に委託して盗聴器を調べてもらうという行動が見られることもあります。

「理由不明の自殺」になっていた可能性も

・「自分は孤立無援で殺されるに違いないと思い、自殺を図りました」

 この方は幸運にも一命をとりとめましたが、もし自殺を完遂していれば、周囲からは理由のわからない自殺ということになっていたでしょう。統合失調症ではそういう自殺がよくあります。

・「怒鳴ったり暴れたりして手がつけられなくなり」

 このような外見だけを見て、「精神病の人は暴れる」というイメージが作られがちですが、そのベースには幻聴や被害妄想があるのです。

・「親に病院へ連れて行かれ、閉鎖病棟に強制入院(医療保護入院)となりました」

 閉鎖病棟とは鍵のかかる病棟、医療保護入院とは本人ではなく家族などの同意による入院を指します。

・「入院した当初は、病院の医師も陰謀団とグルで、自分は薬で殺されると思い、恐怖に震えていました」

 食べ物や薬に毒が入っているという妄想を、被毒妄想といいます。この妄想のため、治療が難航することがあります。この方の場合も、当初は薬を飲んでいただくのが大変だったと思われますが、3カ月の薬物療法で症状はようやくおさまりました。ご本人もご家族も安堵(あんど)されたことでしょう。しかし……

自己判断による服薬中止で再発

・「調子が良くなったのでもう治ったと思って勝手に断薬をし、2回再発してその2回とも強制入院になりました」

 残念ながらこういうケースが後を絶ちません。統合失調症は薬をやめると再発するのです。脳内のドーパミンの変調が再燃するからです。再発の経験をして初めて、薬の必要性を含めた病気への理解が深まるのがよくあるパターンなのです。この方も次のようにおっしゃっています。

・「いま僕が強く思うのは統合失調症という病気についての知識が非常に重要だということです。事前に病気に対しての知識があれば、発症時に『もしかしてこれは?』というふうに気づくことができ、早期の受診にもつながると思います」

 まさにその通りです。さらにここで強調したいのは、前回までにご紹介したような、治療を受けなかった場合の悲惨な事実を知ることの重要性です。それがなければ、たとえば閉鎖病棟は容認できないでしょう。強制入院も容認できないでしょう。薬の副作用も容認できないでしょう。

偏見を持たず早期治療を

 正しい知識を持っていれば、発症の早い時期に気づくことができます。偏見を持っていなければ、早い時期に精神科を受診することができます。脳内メカニズムと薬の知識を持っていれば、薬をやめて再発して再入院することは避けることができます。この方は最後にこう言っておられます。

・「これからも服薬をしながら、慎重に自分の心と体の変化に注意を払い、病院の先生とよく相談しながら心身の安定に努めたいと思います。時代が変わり、世代が変わり、知識が増え、精神病の人たちへの偏見や差別がなくなり、早期の診断と治療がごく普通になることを願っています」

【100人に1人が発症 「統合失調症」の真実【1】 【2】 【3】はこちら】

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