箕面の森の小さなできごと&四季の風景 *みのおハイキングガイド 

明治の森・箕面国定公園の散策日誌から
みのおの山々を歩き始めて三千余回、季節の小さな風景を綴ってます 頑爺<肇&K>

森は無言の教材!

2020-08-25 | *編集・春/5月

森は無言の教材!

 今日は落合谷から前鬼谷(ぜんきだに)の尾根に出た所でお昼にしました。

12時を10分ほど過ぎた頃です。

この休憩場所には丸太で作った6人掛けのイス、テーブルが2台と、2人掛け

のベンチが3台ほどあります。

いつもお昼時にここを通るとお弁当を広げている方が時々いますが、今日は

3人の方がお弁当を食べていました。

と言ってもよく見ると傍に電気ノコギリやロープ、ヘルメットなどがあり、

山林作業員の方と分かりました。

 

    「こんにちわ!」

と、挨拶を交わして、私は横の空きベンチに座りお茶を飲んでいました。

ここへ来るまでに森の中で遠くに作業の音がしていて、途中老木や倒木が

整理されていた所を通ったばかりなので・・・ この方たちが・・・

    「今、何をなさっているのですか?」

と、問い掛けてみた。

    「倒れた木が多いんでね・・・」

とのことです。

そういえば3年前の大型台風で箕面の森の木々が相当倒された事が

あった。

長い間放置されていたが、やっと予算が下りて回復作業にかかっているよう

です。

一人のおじさんはもうお弁当を食べて、ベンチの上で大の字になってお昼寝

を始めていた。

遠くでウグイスが鳴き、目の上の松の木からヒヨドリが飛んでいった。

 

そんな穏やかな一時を過ごしていた時、下の方で急に賑やかな声が聞えて

きたかと思ったら・・・

若者が3人競走をしてきたらしく フ~フ~ 言いながら上がってきた・・・

そして次から次から若者が到着し、あっという間に休憩場所は人 人 人で

埋まってしまった。

ベンチで寝ていたおじさんはあわてて起き出し、他の2人もあわてて荷物を

横に移動したり・・・

空いたところにはもうすぐに有無を言わせず若者が腰掛けている。

私もあわてて荷物を下に降ろしたとたん、若者が一人腰掛けてきた。

 

あっという間に何たる事・・・ と 唖然とする。

挨拶一つまともに出来ない・・・ マナーも悪いし無礼な!

ここは学生食堂か? と 思うほどだ・・・ 

座る所が無く,ほとんどが地べたに座っている・・・ 砂埃がする。

私の横に座った若者が、後から よっこらしょ! と 上がってきた中年に 

      ” 先生ここ取っといたで・・・ ” と。 

なんと?  ここは電車の席取りか・・・? 

先生は  ” どうもすみませんな・・・ ”  と、私の横に座られて汗を

ぬぐっておられる。

 

私は・・・

   「 学生さんですか?」

と、声をかけてみた。

先生は・・・

    「そうですねんです。 一年生35人と教師6人ですわ・・・

       騒がしてすみませんな・・・」   

    「 先生お昼まだですか・・・ 」

    「 もうすぐや!  今食べたらあかんで・・・ 

      ここは休憩のみ、あと5分で立つんやで・・・ 」  

     「 そんなん!  腹減ったわ・・・」  

とか・・・  とにかく賑やかな事。

 

横に座った先生は・・・

    「福祉介護の専門学校でして・・・ 

     こんな子達でもあと何年かすると、プロとしてお年寄りの介護や

     福祉の仕事についてくれるんですわ・・・

     今はこんなんですけどね・・・」 

と、笑いながら私の顔を見る・・・ 

(見なくてもそうですよ!  私も近くお世話になる年ですから・・・ 

これ私のヒガミ!  

 

そして・・・ 

     「山を歩くのは教育の一環でしてね・・・

      チームワークがよくなるんですわ・・・ 

      それに私らは、子供ら一人一人の性格が、山を歩くとよく

      分かるんですわ・・・ 

      教室だけでは分からんのですけどね・・・ 

      それに何といっても、自然の中には無言の教材が山ほど

      ありますからね・・・」 

 と・・・ さらに・・・

     「今の子供は自分の思考や情報収集なども、みんなネットで

      やりますからね・・・ 

      こういう自然の素材をじかにふれたり、感じたりが大事で

      して・・・ 

      教室で教えるより、山や森を歩く方が興味が湧いて、よう

      学べるんですわ・・・ 」

とのことです。 

 

その時 ピー と 笛がなった・・・ 

       「出発するよ!  早よ立ちや!・・・

         各班の班長は報告するんやで・・・」

       「どうもお騒がせしてすいませんでした・・・ ホナ失礼します」 

 

僅か10分ほどのあっという間の出来事だったが、彼らが去った後には

また静寂が戻った。

あの3人の作業員と私は顔を見合わせて・・・ 

  「台風一過・・・?」 ですな・・・ と 苦笑し合った。

再び小鳥が頭上で鳴いた・・・

鳥達は森で働く人からお弁当の残りのおすそ分けをもらい、それをついばん

でいる・・・

まもなくオジさんたちは、それぞれのベンチの上でお昼寝に入った・・・ 

 

  「森は無言の教材・・・」 か・・・

それにしてもあの賑やかで、がさつで、礼儀もまだ知らない学生達だが、

先生が言われるように、数年後には勉強をして人間を磨き、プロの 

「介護福祉士」 として社会で活躍するようになるんだな・・・

そう思うと・・・

やがてお世話になる私としては、自分の事と関連付けるや、急にあの賑やか

さも頼もしく感じられ・・・ 

ガンバレ!  ガンバレ!  と エールを送るのでした。

ちゃっかりものです・・・   

'13  5.13 

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