如意谷(にょいだに)の紅梅から古代ロマンへ
山麓線(府道箕面池田線)を東に向かって歩いていました。
今日は、この先の大宮寺から医王山~谷山を超えて勝尾寺南山を目指す
予定です。
途中、如意谷住宅前を過ぎたところから、見事な 満開の紅梅の花が見えて
きました。
数えると7本の梅の木が花開き、今が見頃です・・・
その花びらの間を、あのウグイス色をしたメジロや大きなヒヨドリたち、そして
小さなスズメまで沢山の鳥たちが枝から枝へと渡りながら花弁をつつき、蜜を
吸ったりしています。
私はしばしの時間、その紅梅と小鳥達の仕草に見とれてしまいました・・・
春だな・・・!
見上げると お社(やしろ)があり、ここは神社の一角と分かりました。
横から正面に回ると 龍王神社 とあり、狭い境内ですが、無人のお社も
あります。
正面には桜の木があり、もう蕾がいっぱいに膨らんでいます・・・
桜の花が咲くときれいでしょうね・・・
神社の前の山口池には二羽のカモが仲良く泳いでいます。
この如意谷(にょいだに)には、我が国で初めての 埋納遺こう
確認された事で有名です。
「如意谷銅鐸出土こう」 は弥生時代のものと言うことですから、
この地域は古き時代の流れを感じさせてくれますね。
( * 歴史的文化遺産が数多く点在するというこの箕面山麓で、弥生時代
から延々と平安時代、江戸時代へと続く 様々な名所、旧跡があり、
その豊富な資料は「箕面市立郷土資料館」 で公開されています。 )
池の向かい側に見える大きな木の下へ行ってみました。
樹齢 百数十年というクスノキとヤマモモの大木で、市の保護樹林の表示が
あります。
そして、ここには古いお寺があります・・・
狭い境内に、小さな無人寺のようで、一人でいるのが不気味に感じました。
建物には・・・
「高野山真言宗 寶珠院 奥之院」 とあります。
そして、その扉口にはこんな紙が張ってあります。
「・・・さい銭を入れないで下さい・・・さい銭泥棒が入口を再三壊して・・・云々」
の旨です。
バチ当りのゼニドロが今でもいるのですね・・・
それにしても、なんとも無粋な張り紙ですが、困っておられる様子が分かり
ました。
このお寺は元慶4年(880年)に創立されたとかで、如意輪観世音菩薩を
本尊として祀っています・・・ との表示物。
今から 1128年前・・・そんなに古くからあるお寺なんだ・・・
それに、ここでは風変わりな夏祭りが行われていた・・・との事。
「尻つめり(つねり)踊り」 とか・・・
何でも面白い恰好に扮装した若者が、境内に集まった人の中から、日頃
思いを寄せている娘のお尻をつねりながら踊り明かすというもの・・・
ここの観音様が別名 「尻つめり観音」 と言うそうで、何とも人間的で
親しみを感じます。
好きな娘のお尻をつねりながら一晩中踊るなんて・・・
一晩中つねられている娘さんの方は大変だわ・・・(笑)
好きな人からならまだ痛みも心地いいかもしれないけど・・・?
気のない人からではね・・・
翌日はみんなアザだらけで 娘たちは大変だったろうな・・・
それを思うと一人でふくみ笑いをしてしまいました。 (笑)
それにしても箕面山麓は面白い話題がありますね・・・
昔々の邪馬台国と時を同じくして 「為那国(いなのくに)」 という
古代ミニ国家が箕面を中心にあったのでは・・・ という説があるそうで
面白いですね。
その王国の祭祀に使われたのが、この如意谷で出土したあの
弥生時代の銅鐸ではないかと・・・
いろいろ想像すると箕面に壮大な古代ロマンが広がっていきます・・・
私は今日の予定を変更して、しばしここで浸ることにしました。
なにぶん隠居の身ですから自由気まま・・・ 一人で好きな所で浸る・・・
この浸り歩きの森の散策スタイルは、我ながら気にいっているのです。
この古いお寺の後方には大きな弥勒菩薩が立っていて、更にその後ろには
狭い所ながら、その昔の霊場か? 霊験あらたかな面影を感じさせる
レリーフが岩に彫ってあり、横の岩の上にはお地蔵様が安置されています。
横手には小学校の校庭があり、子供達の声が聞えますが、この場所と歴史を
知っている人はどれだけいるのかな・・・?
時代と歴史の移り変わりに、空虚な寂しさを感じました。
私は竹やぶの横を通り、お寺の裏山に出てみました・・・
なんと!
裏山と思ったところは土手で、大きな貯水池が広がっていました。
カモや水鳥が10数羽、気持ち良く泳いでいます・・・ いい光景です!
しかし、見上げると大きなマンション群が迫ってきています。
箕面山麓もまた開発の波には逆らえないのでしょうか・・・
自然の姿を残しておいて欲しいな・・・
ロマンを思い描いた後だけに、何だかまた寂しい気持ちになりましたよ。
その時でした・・・
メガネに手をやったとたん カタ! と小さな音がしたと思ったら、急に
景色がぼやけて見えました・・・? なに・・・?
なにぶん何事もドンカメですから、事情をのみ込むまで時間がかかります・・・
やっとメガネのレンズが取れて、落ちたことに気づきました・・・ (笑)
メガネを外すと枠が外れています・・・ ネジが緩んでいたのでしょうね。
困った!
下は冬場で枯れているとはいえ深い草むらです・・・
こんな所で、小さな透明レンズを探し出す事の難しさは多分、人には分かって
もらえないでしょうね・・・ (笑)
草むらに顔をできるだけ近づけて、這いずり回るように探しました・・・
なぜなら、何が何でも探さないと前が見えずに、家にも帰れないのですから
必死です。(笑)
まさに恰好悪い恰好で、四苦八苦の30余分・・・
ガーガーガー と鳴く 池のカモ達にも笑われているようで、情けない
気持ちになりましたが、やっと見つかりました・・・
ほっ! と 大きなため息が出ました。
紅梅や古代ロマンなどと気分良く浸っていたのに、落としたメガネレンズを
探している間はそんな事は全てどこかに飛んでいって、それどころではあり
ませんでした・・・
突然のできごとが起きると、バタバタとあわてて瞬時に全てが真っ白!
自分の人間性が滲み出るようで、自己嫌悪に陥りましたよ・・・。(笑)
あの 尻つねり で 笑ったので、バチが当たったに違いありません・・・?
08-3・18 (完)