日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

介護報酬の引き下げ

2015年01月31日 09時55分22秒 | 日々雑感
 政府は今月11日、来年度の予算案をめぐる協議で最大の焦点になっていた介護報酬改定について、全体の改定率をマイナス2.27%とすることを正式に決定した。これは先に、財政制度等審議会が、介護事業者の収支差率が一般の中小企業を大きく上回っているとして、「少なくとも、中小企業並みの収支差率になる6%程度の適正化が必要」と主張していたことを受けての結果である。引き下げは増大を続ける給付費や保険料、自己負担を抑制していくことが狙いだ。厚労省は、介護サービスを受ける人間の金銭的負担も減るとそのメリットを強調するがそんな心安らぐ話ではなさそうである。
 介護報酬の引き下げは介護事業者の猛反対は当然であろう。儲けの出ている事業者は一部であり、ほとんどの業者はぎりぎりで運営しており、これが実施されれば新規事業者の参入はなくなるばかりか、撤退する事業者も出てくるとの言い分である。現状でも介護施設の不足が深刻であり、無認可の施設が増加しているとのことであるので、話は深刻である。
 厚労省は、財政難を理由に在宅介護を重視する方向である。家族で介護して貰える老人は無上の幸せであるが、条件の揃っている人はそれほど多くは無い。また、認知症老人を抱えた場合、家族だけで面倒を看るのは至難の業であり、無認可の施設が増加するのは当然である。
 介護事業に株式会社の参入が認められたのは、2006年でそう古い話ではない。株式会社は儲けることを目的とするため、適度な儲けは必要であろうし、何とか工夫して儲ける手立てを考えるのは当然である。どう工夫しても儲からないと見極めた事業者は、慈善事業まではやらずに撤退するであろう。
 介護事業はサービス業であるため、サービス内容により収支は大きく左右されるであろう。介護サービスにおいては食事や排便等の他、話し相手になることも高齢者には精神面より特に重要との話であるが、短期間で成果が左右される話ではない。介護報酬の引き下げはこのあたりのサービス内容の低下に真っ先に現れるであろう。サービス内容の低下だけならまだしも撤退となれば、ますます無認可の施設が増加し、社会的なコスト増加となるであろう。まさに角を矯めて牛を殺す結果とならなければ良いが。
「団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年に介護職員が全国で30万人不足するとの話であるが、これに対し直接介護する職員の手当てを月額12000円増額する方針との話だ。介護報酬全体は下げるが、介護職員の手当ては上げるとの方針を民間事業者にどうやって実現させるか分からないが、増額できたところで他の職業に比べ低賃金であることには変わりない。介護の世界はお先真っ暗である。(犬賀 大好-97)