日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

アジアインフラ投資銀行

2015年05月06日 09時50分16秒 | 日々雑感
 アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立が決まった。日本は5月6日現在参加を表明していないが、賛成、反対の立場から議論が盛んである。参加反対の意見では、中国主導の下では融資の条件に対する環境、人権、入札手続き等に不透明な部分が多いことを理由に挙げている。参加賛成では、参加することにより内部から改善していけばよく、始めから参加するのが国益に適うとの理由である。 TPPと同様に、参加しないでいると日本抜きで日本に不利益な約束事が決まる懸念はあるだろう。
 AIIBは、創始メンバー国57国であり、イギリスを始めとEU諸国や中国と領有を巡って係争中のフィリッピン、ベトナムも参加している。ただし、米国、カナダ、台湾、日本は参加を見送っている。中国は銀行総裁を独占するためか出資比率は1/3の見通しとのことである。日本は、参加国、67ヶ国のアジア開発銀行(ADB)を既に運営しているが、出資比率約16%であるのに比較し、AIIBにおける中国の権限の大きさが伺い知れる。
 これまでの中国のアジア諸国へのインフラ投資のやり方は、資金だけではなくそこで働く労働者も中国から連れて行くと報道されている。このため工事の進展は極めて早いが、現地の雇用には役立っていないらしい。中国のインフラ投資は、その国の為と言うより、中国の為と思わざるを得ない。また、日本の高度成長期におけるに突貫工事を思い出させる。例えば水を大量に使ったコンクリート建造物の劣化が4~50年後にトンネルの落盤事故等となって現れる。中国によるインフラ工事は安全意識の高い労働者によって支えられているか心配になる。
 中国は、AIIBへの参加をなお日本に促しているようである。ADBの運用ノウハウをAIIBに生かしたいとの理由であるが、もし日本が参加するとなると3600億円の出資が求められるとのことだ。中国経済の減速が懸念されており、ノウハウより資金が欲しいのではと勘繰りたくなる。
 なお、国際通貨基金(IMF)は、188ケ国参加と最大の国際金融秩序の根幹機関であるが、米国の権限が強過ぎるため、2010年に新興国の出費比率を引き上げる改革案を決めたが、米国の議会が認めず5年経っても進んでいない。米議会では、台頭する中国への警戒感などから、共和党を中心にIMF改革への反発が強く、AIIBの参加など問題外であろう。
 日本では集団自衛権の拡大等自衛隊の役目が拡大しつつあるが、これは米国の意向が強く働いているからだと言われる。米国は、ウクライナやイラン、イラク等で紛争の懸念を抱えており、アジア地域での日本の肩代わりを望んでいるからだ。世界の警察官を自認する米国も相対的に力を弱めており、代わりに中国が台頭しつつあるアジア地域において、日本がどのような役目を為すべきか、大きな問題に直面している。(犬賀 大好-126)