日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

核廃絶の方策

2015年05月16日 10時34分01秒 | 日々雑感
 日米首脳会議における日米共同声明に核兵器使用について「壊滅的で非人道的」の文言が盛り込まれた。ここまで明確に踏み込むのは初めてで、画期的なことらしい。こんな文言は極めて当然と思われるが、国際政治となると、色々難しいことがあるらしい。
 核不拡散条約(NPT)再検討会議は4月27日から始まった。核保有国が軍縮を進める代わりに、非核保有国が新たに保有国とならないと決めてきたNPTは、各国の利害がからみ瀕死の危機に直面しているとのことだ。日米の共同声明は、この危機に直面しているNPT体制を維持することこそ自国を含む世界の平和につながるという日米の共通の認識の結果であるとのことである。しかし、米国の認識とオバマ大統領の認識が必ずしも一致しているようには思えない。
 NTPの共同声明は「いかなる状況においても核兵器が二度と使われないことが人類の生存にとっての利益」とし、核兵器の完全廃絶を訴える内容であった。NPTに加盟する191カ国・地域の大半が賛同したが、核保有国はいずれも不賛同だった。オバマ大統領は核廃絶を訴えてノーベル賞を貰ったはずであるが、ここでもその意見は反映されていない。それでも、一応の成果であるようだ。
 また、各国の指導者は広島、長崎を訪れるべきであるとの文言に対し、中国からは、日本は被害者であることを強調していると反対したとのことである。直接原爆を落とした米国の主張であればまだしも中国が言うとは理解に苦しむ。NPTは何を目的とする会議かを忘れた反対意見と思われるが、こんなことではNPTは存在する意味が無いと短気者は“ちゃぶ台返し”をしたいところであるが、それでは元も子もない。
 一橋大学教授の秋山信将氏が朝日新聞の“私の視点“で、日本は、都市や非軍事産業を核攻撃の標的とする政策禁止を呼びかけること等で、積極的な外交努力を展開すべきであると訴えている。NPTでは、そんな簡単なことですら決まらない。しかし、例え決まったところで、どれほどの効果があるであろうか。戦争は殺し合いである。自分が殺されると分かれば、攻撃の標的を理性的に選別するなど理性的でいられないに決まっている。
 安倍首相は積極的平和主義を唱え、米国に追随して、世界の平和を維持するつもりのようである。しかし、日本は世界唯一の被爆国であり、また憲法で戦争の放棄を決めた数少ない国の一つである。この事実をもっと世界に訴え、どんな戦争でも悪であるとの立場から、積極的平和主義を実践すべきである。(犬賀 大好-129)