地球温暖化は世界的に認知されつつあるが、動物や植物の世界では既にその影響が顕在化している。すなわち動物や植物の北限がどんどん北の方向に広がっているのだ。北限とは北方向の限界との意味であり、限界が広がることは印象的には良さそうであるが、そうも言っておられない。
イノシシは、30センチ以上の積雪が70日以上続く地域では越冬できないと言われ、かっては宮城県が北限とされてきたが、山形、秋田でも2010年頃より農作物が食い荒らされる被害が出始めたとのことだ。温暖化の影響で積雪が減り越冬し易くなった影響らしい。
これは動物の世界における温暖化の一例であるが、植物の世界でも同様である。これまで、筑波山麓や武蔵村山市では古くからみかん栽培が行われており北限と言われていた。また、栃木県那須烏山市小木須地区では1980年代ぐらいから観光農園が出現し、北限のみかん産地として宣伝しているそうだ。
山形県では2010年3月に「地球温暖化に対応した農林水産研究開発ビジョン」を策定し、その中で、果樹王国の山形県がかんきつ類の栽培に挑んでいる。かんきつ類は寒冷地での栽培に向かないとされてきたが、地球温暖化によって県内にも適地が生まれる可能性があり、それを見越して比較的温暖な庄内地方で、かんきつ類の北限栽培に取り組み成果をあげつつあるのだ。
温州ミカンの栽培適温は15~18度といわれる。昨年の酒田の平均気温は過去十年間で最も高い13.5度と、半世紀前の1965年より2度も上がっているそうだ。これでミカン栽培に適するようになったと喜んでばかりではおられない。一方では県の特産品のサクランボの変形や日焼けしたリンゴ、白く濁ったコメなどに温暖化の影響とみられる深刻な被害が出始めているからだ。
農研機構果樹研究所は長野県果樹試験場および青森県産業技術センターりんご研究所と共同で、過去30~40年にわたるリンゴの品質データを分析し、温暖化に伴ってリンゴの食味が変化していることを2013年に明らかにした。酸含量は徐々に減る一方、糖含量はやや増加しており、その結果、リンゴが甘く感じられるようになってきているそうだ。これまで、温暖化が原因で作物の収量や収穫日が変化していることは知られていたが、青果物の味が変化している知見が示されたのは世界で初めてのことだそうだ。
このような変化が起きた原因は、春先の温度上昇で発芽や開花が早期化し、果実の生育期間が長くなる傾向にあることと、果実の成熟期の温度が高くなり酸含量の減少が進み易くなることにあると原因分析されている。
推定では、平均気温18度以上の高温域が、2040年代には関東・北陸の平野部全域にまで迫るらしい。近い将来、温州ミカンの主産地は九州や四国が地図から消え、山形県あたりになるかも知れない。一方サクランボやリンゴの主産地は何処に移っているだろうか。
北限産地は年々北上しているようだが、これは気候条件の変化ばかりでなく、栽培技術の進歩と品種改良によることも大きいだろう。日本人の創意工夫に対する努力はすごい。気候の変化を指を咥えて茫然としている人ばかりではない。先の山形県では8年も前から温暖化を予知して対策を検討しているのもその一つである。九州や四国のみかん農家も高温に適した柑橘類の品種改良やパイナップル、バナナ等のトロピカル果樹栽培を考えていることだろう。2018.02.07(犬賀 大好-414)
イノシシは、30センチ以上の積雪が70日以上続く地域では越冬できないと言われ、かっては宮城県が北限とされてきたが、山形、秋田でも2010年頃より農作物が食い荒らされる被害が出始めたとのことだ。温暖化の影響で積雪が減り越冬し易くなった影響らしい。
これは動物の世界における温暖化の一例であるが、植物の世界でも同様である。これまで、筑波山麓や武蔵村山市では古くからみかん栽培が行われており北限と言われていた。また、栃木県那須烏山市小木須地区では1980年代ぐらいから観光農園が出現し、北限のみかん産地として宣伝しているそうだ。
山形県では2010年3月に「地球温暖化に対応した農林水産研究開発ビジョン」を策定し、その中で、果樹王国の山形県がかんきつ類の栽培に挑んでいる。かんきつ類は寒冷地での栽培に向かないとされてきたが、地球温暖化によって県内にも適地が生まれる可能性があり、それを見越して比較的温暖な庄内地方で、かんきつ類の北限栽培に取り組み成果をあげつつあるのだ。
温州ミカンの栽培適温は15~18度といわれる。昨年の酒田の平均気温は過去十年間で最も高い13.5度と、半世紀前の1965年より2度も上がっているそうだ。これでミカン栽培に適するようになったと喜んでばかりではおられない。一方では県の特産品のサクランボの変形や日焼けしたリンゴ、白く濁ったコメなどに温暖化の影響とみられる深刻な被害が出始めているからだ。
農研機構果樹研究所は長野県果樹試験場および青森県産業技術センターりんご研究所と共同で、過去30~40年にわたるリンゴの品質データを分析し、温暖化に伴ってリンゴの食味が変化していることを2013年に明らかにした。酸含量は徐々に減る一方、糖含量はやや増加しており、その結果、リンゴが甘く感じられるようになってきているそうだ。これまで、温暖化が原因で作物の収量や収穫日が変化していることは知られていたが、青果物の味が変化している知見が示されたのは世界で初めてのことだそうだ。
このような変化が起きた原因は、春先の温度上昇で発芽や開花が早期化し、果実の生育期間が長くなる傾向にあることと、果実の成熟期の温度が高くなり酸含量の減少が進み易くなることにあると原因分析されている。
推定では、平均気温18度以上の高温域が、2040年代には関東・北陸の平野部全域にまで迫るらしい。近い将来、温州ミカンの主産地は九州や四国が地図から消え、山形県あたりになるかも知れない。一方サクランボやリンゴの主産地は何処に移っているだろうか。
北限産地は年々北上しているようだが、これは気候条件の変化ばかりでなく、栽培技術の進歩と品種改良によることも大きいだろう。日本人の創意工夫に対する努力はすごい。気候の変化を指を咥えて茫然としている人ばかりではない。先の山形県では8年も前から温暖化を予知して対策を検討しているのもその一つである。九州や四国のみかん農家も高温に適した柑橘類の品種改良やパイナップル、バナナ等のトロピカル果樹栽培を考えていることだろう。2018.02.07(犬賀 大好-414)