日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

”武士に二言はない” は遠い昔の話

2018年02月17日 10時20分29秒 | 日々雑感
 政府は次期日銀総裁人事について、4月8日に5年間の任期満了を迎える黒田東彦総裁を続投させる方針を決めたようだ。2月16日には、岩田、中曽の両副総裁に代わり、若田部早大教授と雨宮日銀理事が就任するとの発表があった。

 黒田総裁の続投はこれまでアベノミクスに貢献した功績を高く評価したとの評判でであるが、総裁自身は心底喜んでいるのだろうか。異次元金融緩和に拘わらず、未だ物価上昇率が2%の目途が立たず、出口も見えない状況で、副作用だけが懸念され、これを尻ぬぐいを出来る人物は黒田氏以外に見当たらなかったのではなかろうかと下衆の勘ぐりである。

 岩田副総裁は2013年3月の就任時、2年で2%を達成できない時は、辞任する、決して言い訳しない、と大見得を切った。もうすぐ5年が経つが、先述のように目標達成の目途すら立っていない。岩田氏はその原因を2014年の消費増税による景気減速や石油価格の下落のせいと言い訳だらけであり、こんな言い訳で職務が果たせるならば、誰にだって出来る。”武士に二言は無い”は遠い昔の話になってしまった。

 この”武士に二言は無い”、を実行したのは前川喜平前文部科学事務次官位だ。加計学園問題で、”あったものを無かったとは言えない”的な発言をして、職を追われた。加計学園に先立つ森友学園問題は今国会で議論されているが、聞いていると腹が立つ。関係者の言い訳はひどいものだ。

 森友学園への国有地売却をめぐり、財務省は当初、森友学園との交渉記録を廃棄したと説明していたが、最近新たに内部文書20件を国会に提出した。この文書について麻生財務大臣は、本件の文書は森友学園との交渉に関して法的な論点について、近畿財務局内で検討を行った法律相談の文書であり、いわゆる森友学園との交渉記録ではありません、と説明した。

 厳密に言えば、確かに交渉記録そのものでは無いかも知れないが、売却に際し近畿財務局での動きを知るための重要な資料である。約10億円の国有地が約8億円値引きされた根拠に正当性があるならば、始めから提出しておけばよかった。調査したら見つかったとは、片腹痛い。大阪地検特捜部の調査でいずれ公にされるとみての公開であることは誰が見ても明らかだ。

 学校法人森友学園へ相場よりかなり割り引いて売却された問題は、既にその全容は見えている。すなわち、安倍首相の昭恵夫人と森友学園の籠池前園長は日本会議を通じて懇意であり、籠池氏の学校用地取得希望に際し、昭恵夫人が行政当局の誰かに頼み込んだのが切っ掛けであろう。

 財務省にとって、10億円ははした金である。恐らく前理財局長の佐川氏も直接絡んではいないのだろうが、政府関係者に過度な忖度をし、部下にその旨伝えていたに違いない。

 本質をはぐらかした言い訳答弁を繰り返す麻生財務相、「金額」と「価格」との言葉を巧みに使い分ける佐川国税長官に、いさぎよさは微塵にも感じられない。

 森友学園問題で安倍首相は、自分自身、あるいは安倍昭恵夫人が関係していると分かれば、代議士を辞職するとまで大見得を切った。既に昭恵夫人の関与が明らかとなっているが、直接値下げ交渉に関係していないと、言い訳して幕引きとなるであろう。

 安倍首相の発言は常に明瞭であるが、この明瞭な言葉に対する責任が伴わず、しかも言葉の軽さに気が付く様子も無い。国民に丁寧に説明する、は首相の常套句であるが、内実が伴わない説明はいくら多弁であっても丁寧とはならない。

 国のトップがこうであるならば、下の者は見習うのが常識となる。内閣不支持率34%の理由として”人柄が信頼できないから”が一番である。道徳教育が必要だとする政権幹部の道徳教育からまず始めるべきだ。2018.02.17(犬賀 大好ー417)