日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

異次元の少子化対策の安定財源は?

2023年01月07日 09時53分50秒 | 日々雑感
 岸田首相は、今年(2023)の優先課題として、”異次元の少子化対策”と”物価上昇率を超える賃上げ”の実現に取り組む考えを表明した。前者に関し、首相は2022年の出生数が80万人を初めて割り込む公算が大きいことに触れ、これ以上放置できない課題であり、出生率を反転させなければならないと語り、強い危機感を示した。

 この問題は予てより指摘されており、今更の感がする。これまでも何らかの対策が施されていた筈だが成果は全く得られていない。昨年の末、増税で対処するとした防衛費倍増問題が周辺国との関係で不確実なのに対し、少子化問題は確実にやってくる大問題だ。しかし、ここで”異次元”とは使い古された修飾語であり、少子化自体が陳腐な問題となってしまう。もっと新鮮味のある首相独自の表現が欲しい。

 少子化問題に関しては、・児童手当などの経済的支援の強化、・学童保育や病児保育、産後ケアなどの支援拡充・働き方改革の推進、を3本柱に掲げ、小倉少子化相に具体策の取りまとめを指示した。

 この会議でよく議論し具体策を講ずるようにとの指示であろうが、自身の具体策は何ら持っていないと勘繰ることも出来る。首相は自分の考えを余り出さず皆の意見に従う姿勢のようだが、先の防衛力強化に対し専守防衛から敵基地攻撃能力の保持との方向転換や原発回帰に対する方向転換の決断は早かった。恐らく水面下での議論はあったのであろうが、この議論の場には反対意見の人はいなかったのであろう。国防問題や原発問題には関係団体、圧力団体が多く、首相は強硬意見に乗せられたと思われる。

 少子化問題では、政府は小倉氏をトップとする会議体の設置を検討しているが、この問題は要因が多岐にわたり複雑に絡み合うため、多くの人の意見を整理し纏める必要がある。小倉氏の手腕が問われるが、一番の問題は財源確保策であろう。

 少子化問題は出生から子供の成長に伴い各種の課題が発生する。出生率の減少には生活様式の変化し、価値観が多様化し、古い時代のような結婚観が薄れ、晩婚化・未婚化が増加した。子どもを持つことにこだわらないカップルも増えている。加えて経済的な理由や育児環境、特に仕事と育児の両立できる社会環境が充分でない。議論することには余り金はいらないが、具体的に実行するとなると補助金、支援金等莫大な資金が必要となる。

 岸田首相が打ち出している子ども予算の倍増について、小倉担当大臣は、来年の「骨太の方針」で実現への道筋等を明らかにすると表明しているが、予算の捻出法に関しては早くも自民党内で揉め出している。安定した財源を確保するためには、税に頼るのが手っ取り早いが、増税は選挙には不利だ。

 少子化問題は広範に社会的影響が及ぶ危機的な事態だとの認識では一致しても、増税に関しては一致できない。首相は先送りできない緊急課題としているが、どこまで指導力を発揮できるであろうか。
2023.01.07(犬賀 大好ー878)


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