日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

ロシアのウクライナ侵攻に新たな局面が

2022年12月10日 09時55分11秒 | 日々雑感
 12月5日に、ウクライナとロシアの国境から600km以上離れたロシア中部のエンゲリス空軍基地がドローンで攻撃され、TU95爆撃機2機が損傷した。この基地はウクライナ各地へのミサイル攻撃に使用される重爆撃機が30機以上駐留出来る戦略的に重要な拠点だそうだ。損傷の程度は不明であるが、重要な空軍基地が無人ドローンで攻撃されるとはロシアの軍事力の甘さが目に付く。

 ここで使用されたドローンは元々ロシア製で偵察用だったドローンをウクライナが改造したと思われているそうだ。このドローンが完全に無人運転だったか、目標近くで無線誘導されたか不明であるが、技術の進歩はすざましい。更にウクライナは自国開発の1000㎞以上の航続距離のあるドローンの実用化直前のようだ。劣化するロシアの軍事力と進化するウクライナの軍事力、戦争は新たな局面を迎えようとしている。

 ウクライナは連日のように、主要な都市のインフラ設備がミサイル攻撃されており、7~8割がた迎撃しているとの報道であるが、このミサイル攻撃を何とか防ぐべく、戦争拡大に繋がるリスクのあるロシア内陸の空軍基地攻撃に踏み切ったに違いない。

 これに先立つ約1か月前の11月15日、ポーランド国内、ウクライナ国境から6Km離れた村の農場でミサイルによる爆発があり、2名が死亡した。この日、ロシアは2月の侵攻開始以降で最大規模とみられるミサイル攻撃を実施しており、ウクライナの防空システムが起動していた。ミサイルの着弾現場では、ロシア製の地対空ミサイル「S300」の破片が見つかったと伝えられている。ソ連時代に製造が始まったS300は、ウクライナ侵攻でインフラなどを攻撃する際攻撃用ミサイルとして使用され、ウクライナもロシアによるミサイル攻撃への迎撃手段として使ってきた。

 NATO加盟国でもあるポーランド国内への着弾はロシアのウクライナ侵攻以来初めてであり、もしロシアからの攻撃であったならば、NATO全体を敵に回すことになるため、地球規模の大戦争に発展する可能性がある。

 しかし、ポーランドの大統領はこれまで、問題のミサイルはロシア製のS-300だった可能性が高いが、ロシア側によって発射された証拠はないと述べている。一方、ゼレンスキー大統領はテレビ演説で、私たちの軍の報告から、ロシアのミサイルだったと信じている、と述べ、欧米諸国とウクライナの見解が割れている。

 ウクライナにすれば、欧州諸国が全面的に戦争に参加してくれれば、戦争終結も早まる期待もあるだろうが、全面戦争は危険が大き過ぎる。ポーランド国内に着弾したミサイルの現地調査が進んでいるようだが、当時ウクライナの迎撃ミサイルシステムが稼働していたことを考えると、現地調査より迎撃システムの履歴調査の方が肝要と思われる。

 この事件はウクライナの迎撃ミサイルの失敗であったとの結論になるだろうが、ゼレンスキー大統領を納得させるために西側諸国は何かしらの妥協が必要になる。これが、ロシア内陸の空軍基地への攻撃を黙認することであったと勘繰られる。2022.12.10(犬賀 大好ー870)


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