新型コロナウイルスが世界中に広がっているが、これを抑えるのはワクチンしかないと、世界中の国が入手に必死である。現在世界には、英アストラゼネカ、米ファイザー、米モデルナ社製の3種類のワクチンの他、中国製のワクチンも利用できるとのことだが、中国製は情報がほとんどなく当面問題外である。
実際ワクチンの効果は大きい様だ。イスラエルでは先月19日から、米ファイザーなどが開発した新型コロナウイルスのワクチン接種が始まったそうだ。当国の公的な保険機関は、2回目の接種を終えた12万8600人について、初期段階の状況を公表した。
2回目の接種から1週間以上経過したあとの状況を調べたところ、検査で陽性反応が出た人は20人、割合にして0.01%だったそうだ。20人には、いずれもせきや頭痛などの症状が現れが入院した人はいなかったそうだ。またこのうち10人には基礎疾患があったというこだ。
基礎疾患が無ければ若干の副作用を伴うものの、ワクチンが非常に効果的であることを示しており、保健当局も「初期段階のデータにすぎないが、非常に勇気づけられる結果だ」とコメントしており、世界中の国がますます欲しがるだろう。
しかし、イスラエルの全人口900万人の内60歳以上の高齢者の82%に対しワクチン接種を済ませたが、感染率が1月初めの10.2%から9%強に低下したが、重症・最重症患者数は1100人近辺で横ばいとなっているそうで、国全体から見たワクチン接種の顕著な効果はまだ現れていないようだ。
ワクチン接種の実施にもかかわらず感染封じ込めに至っていない背景には、従来のウイルスより感染力が強く、病原性も高い可能性が指摘される英国型変異株の存在があると、同国保健省の当局者らは話しているとのことだが、もし本当であればコロナウイルスの終焉は更に遠ざかる。
しかし、現時点でのコロナ撲滅の道は前述のワクチンしかなく、獲得競争が激しくなるだろう。欧州連合(EU)やEU各国は途上国へのワクチン供給のため、国際的な共同調達を提唱し、資金提供も提唱している。また、日本も同様の目的で、ワクチン開発の特許権を国際的に共有する構想を打ち出している。
米国のバイデン新大統領も国際的な協力の枠組みに新たに加わることを宣言しているが、いずれもワクチン供給が十分にあるとの前提であり、現実には綺麗ごとでは済まないであろう。
さて、イスラエル政府は3月末までに16歳以上のすべての国民に対して接種を終えたいとしており、どの国よりも高い人口比の接種率が評価されている一方、接種対象はイスラエル人とエルサレムのパレスチナ人だけに限定されているとのことだ。西岸地区とガザ地区に住む約500万のパレスチナ人は対象になっていないとのことで、あからさまな差別が行なわれているようだ。
また、ワクチンの供給が遅れているEUが、ワクチンの域外流出を防ぐための輸出規制策を定めワクチンの獲得に必死なようだ。
各国、表向きにはワクチン供給の国際的な協力が大切と言ってはいるが、現実問題となると自分大事な姿勢がにじみ出ており、イスラエルの差別を一方的に非難できない状況だ。開発途上国に対する支援は大分先になるだろう。2021.02.03(犬賀 大好ー675)
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