安倍首相は今月14日、訪問先のシンガポールでロシアのプーチン大統領と23回目となる首脳会談を行ない、1956年の日ソ共同宣言を基礎として平和条約締結を加速させることで完全に一致したと報告した。
この日ソ共同宣言には、平和条約締結後に歯舞群島・色丹島を引き渡すと書いてあるだけで、国後・択捉の2島については何も書かれていない。しかし、1993年の東京宣言においては、二島ではなく、四島の帰属問題を解決した上で平和条約を締結するとしている。この東京宣言を日ソ共同宣言と比較すると、日本の外交手腕に感心するとともに、旧ソ連はよく大幅な譲歩をしたものだと感心する。
それにも拘わらず、安倍総理は1993年の東京宣言の成果を放棄して、1956年まで戻って譲歩しようとしているのかと、早くも反対を叫ぶ人が現れているが、当然であろう。
北方4島問題は戦後70年以上経つのに何ら進展が無い。安倍首相は在任期間が後3年であり、この間に何とか実績を残したいと考え、今回2島返還を先行させ、その後平和条約を結び、長期的には国後・択捉を日本人とロシア人で共同開発し、ここを両国の共同管轄地区にでもしようと考えているのではなかろうか。
プーチン大統領は、2007年にクリル発展計画を始めたが、思い通りに進展が無いためか、前回の安倍首相との会談では、今年中に前提条件を抜きにして平和条約を結ぼうと唐突の提案をした。
クリル諸島は日本名で千島列島を指し、この発展計画とは北方4島を含む千島列島の経済発展計画のことだ。この計画は、インフラを整備し、資源加工業を興すこと等により、地域の経済発展を促すことを目的とし、投資総額を約1400億円として大々的に開始した。
昨年4月には、日本の安倍首相が率いる大規模な代表団がモスクワを訪問し、プーチン大統領とクリル計画について協議を行った。日本側は、協議は率直で内容の濃いものだったとし、前向きに評価した筈であったが、その後の日本側の反応は鈍く、大統領の思惑は外れたようだ。大統領は、その原因が平和条約が締結されていないためだと考えているのだろう。
しかし当初の計画より進んでいないと言っても、それなりの発展はあるようだ。クリル発展計画は、現在第3期目であり、順調に進んでいるとの声も聞かれる。国後・択捉・色丹には、ロシアの人々が多数定住する等、実効支配も着々と進行しているようだし、またロシアばかりでなく、中国や韓国の資本も入りこんでいるとのことだ。このまま手をこまねいていたならば、日本の出番が無くなるとの、日本側の焦りもあるようだ。
日本の経済進出が進まないのは、平和条約の締結が無いためかも知れないが、一つにはロシアに対する不信感が払拭されていないこともあるのではないだろうか。なんせ、北方4島は1945年日本がポツダム宣言を受諾したあと、ソ連軍が進撃して不当に占拠したとの国民感情は強く、これが原因でロシアが嫌いな人々は多くいるだろう。
例え歯舞諸島と色丹2島の返還が無事実現できても、国後・択捉を含む北方4島の完全日本復帰は不可能と専門家の多くは言う。
日本は1972年に沖縄を米国から返還させた実績がある。現在沖縄本島は米軍基地が約15%を占め、その多くは、街の真ん中や近くにあるため、沖縄の人たちにとって暮らし難い生活を余儀なくされているが、曲がりなりにも日本と米国は共存している。せめて国後・択捉は、沖縄と同様に、ロシアと日本が地域割して共存するような形にならないであろうか。
2018.11.28(犬賀 大好-498)
この日ソ共同宣言には、平和条約締結後に歯舞群島・色丹島を引き渡すと書いてあるだけで、国後・択捉の2島については何も書かれていない。しかし、1993年の東京宣言においては、二島ではなく、四島の帰属問題を解決した上で平和条約を締結するとしている。この東京宣言を日ソ共同宣言と比較すると、日本の外交手腕に感心するとともに、旧ソ連はよく大幅な譲歩をしたものだと感心する。
それにも拘わらず、安倍総理は1993年の東京宣言の成果を放棄して、1956年まで戻って譲歩しようとしているのかと、早くも反対を叫ぶ人が現れているが、当然であろう。
北方4島問題は戦後70年以上経つのに何ら進展が無い。安倍首相は在任期間が後3年であり、この間に何とか実績を残したいと考え、今回2島返還を先行させ、その後平和条約を結び、長期的には国後・択捉を日本人とロシア人で共同開発し、ここを両国の共同管轄地区にでもしようと考えているのではなかろうか。
プーチン大統領は、2007年にクリル発展計画を始めたが、思い通りに進展が無いためか、前回の安倍首相との会談では、今年中に前提条件を抜きにして平和条約を結ぼうと唐突の提案をした。
クリル諸島は日本名で千島列島を指し、この発展計画とは北方4島を含む千島列島の経済発展計画のことだ。この計画は、インフラを整備し、資源加工業を興すこと等により、地域の経済発展を促すことを目的とし、投資総額を約1400億円として大々的に開始した。
昨年4月には、日本の安倍首相が率いる大規模な代表団がモスクワを訪問し、プーチン大統領とクリル計画について協議を行った。日本側は、協議は率直で内容の濃いものだったとし、前向きに評価した筈であったが、その後の日本側の反応は鈍く、大統領の思惑は外れたようだ。大統領は、その原因が平和条約が締結されていないためだと考えているのだろう。
しかし当初の計画より進んでいないと言っても、それなりの発展はあるようだ。クリル発展計画は、現在第3期目であり、順調に進んでいるとの声も聞かれる。国後・択捉・色丹には、ロシアの人々が多数定住する等、実効支配も着々と進行しているようだし、またロシアばかりでなく、中国や韓国の資本も入りこんでいるとのことだ。このまま手をこまねいていたならば、日本の出番が無くなるとの、日本側の焦りもあるようだ。
日本の経済進出が進まないのは、平和条約の締結が無いためかも知れないが、一つにはロシアに対する不信感が払拭されていないこともあるのではないだろうか。なんせ、北方4島は1945年日本がポツダム宣言を受諾したあと、ソ連軍が進撃して不当に占拠したとの国民感情は強く、これが原因でロシアが嫌いな人々は多くいるだろう。
例え歯舞諸島と色丹2島の返還が無事実現できても、国後・択捉を含む北方4島の完全日本復帰は不可能と専門家の多くは言う。
日本は1972年に沖縄を米国から返還させた実績がある。現在沖縄本島は米軍基地が約15%を占め、その多くは、街の真ん中や近くにあるため、沖縄の人たちにとって暮らし難い生活を余儀なくされているが、曲がりなりにも日本と米国は共存している。せめて国後・択捉は、沖縄と同様に、ロシアと日本が地域割して共存するような形にならないであろうか。
2018.11.28(犬賀 大好-498)
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