世界的に地球温暖化が原因と思われる異常気象が相次いで発生する現代、その原因となる炭酸ガスを始めとする温室効果ガスの削減が急がれている。温室効果ガスの中でも二酸化炭素の排出が急激に増え始めたのは、18世紀の産業革命以降のこと。たくさんのエネルギーを得るために大量の石炭や石油などの化石燃料を燃やした結果、大気中の二酸化炭素が急速に増加し、これが地球温暖化を引き起こす最大の原因と考えられている。
一方、自動車は現代社会には欠かせない道具であるが、ガソリンを燃料とする自動車は炭酸ガスを排出するため、世界的に電気自動車に代えようとする動きがあり、電気自動車(EV)の開発競争が激化している。
習近平国家主席が脱炭素社会を実現し、EVを中心とした世界トップクラスの自動車産業を築くビジョンを2002年頃から国家戦略として打ち出した理由は、地球温暖化をいち早く見抜いた先見の明と言うより、ガソリン車では世界に太刀打ちできないとの判断があったからであろう。政府の支援によりEVベンチャーが増えたことにより、中国で新エネルギー車を生産する自動車メーカーはその数にして約300社に及ぶといわれている。
EVは、動力源としてガソリン車のエンジンに代わり電気モータを使用するため、車の構造ははるかに簡単になり、車体価格を安くでき利点の他に新規参入が容易になる利点もある。中国がEVの開発に目を付けたのはもっともである。
しかし、現時点で最高性能と言われるリチウムイオン電池は価格が高く、航続距離を稼ぐためには沢山の電池を搭載しなければならず当初の期待ほど価格が安くならない原因となっている。
中国の自動車メーカー、ウーリンが2020年7月に発売した約50万円の小型電気自動車、MINI EVが、ついに日本でも販売開始される予定とのことだ。MINI EVは、車両価格45万円という圧倒的な安さを売りとして発売以来、世界的に販売台数は連続記録を更新し続けているようだ。
日本でも軽自動車メーカはこれに乗り遅れまいと一斉に軽自動車のEV化を始めている。ダイハツ工業は、2025年までに軽自動車の電気自動車(EV)を国や自治体の補助金を活用して、実質負担額100万円台で販売することを2021年12月に発表した。三菱自動車も最低価格140万円で販売を始め、スズキは2025年頃までに発売する計画を表明している。国産EVは、MINI EVに比べ割高感であるが、アフターサービス等で勝算があると踏んでいるのだろう。
軽自動車専門メーカーを除く日本の大手自動車メーカは、世界の流れに後れを取っている感である。各メーカーはNTTやソニー等との異業種の企業と共同開発を試みているが、自動運転等高級志向であり、価格もかなり高いものになるだろう。従って日本におけるEVの普及はまず軽自動車からであろう。2023.02.11(犬賀 大好ー888)
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