2011年にアラブ諸国に広がった民主化と自由を求める運動で、リビアを始めとする多くの国で独裁的政権が倒されたが、今なお混乱が続いている。
リビアの元最高指導者カダフィ大佐は42年間にわたってリビアを支配した。カダフィ政権は、2003年末に核兵器開発計画を含むすべての大量破壊兵器を廃棄すると宣言し、米国から科せられていた経済制裁が緩和され、外国資本が入り経済的に潤い始めたが、反体制派を徹底弾圧することは止めなかった。
2011年チュニジアで始まった民主化運動がリビアに拡がり、カダフィ大佐は殺害され独裁政権は崩壊し、その後暫定政権が発足したものの、国内各地に生まれた軍閥をまったく統制できず、分裂状態に陥った。このような2011年の一連のアラブ諸国における動きはアラブの春と名づけられ、民主化による春の到来を期待されたが、順調には進まなかった。むしろ独裁政権が退いたことによって、それによって押さえられていた部族対立や宗教対立が息を吹き返してしまい、イスラーム過激派の進出を許してしまう結果となってしまった。
現在比較的安定しているのはアラブの春が始まったチュニジアのようだ。2011年1月、それまで23年続いていたベン・アリ大統領の長期政権が市民によるデモの力で崩壊し、国家の基本となる憲法を作り直すことからチュニジアの民主化は始まった。現在アルジェリア及びリビアとの国境地帯を含む南部砂漠地帯の一部は、テロリストが頻繁に往来する地域とされているが、他は治安状態が良いとのことだ。
エジプトのように軍事政権が復活してしまうところも出ている。またシリアやイエメンのように内乱がさらに深刻になっているケースもある。アラブの春を経験したアラブ諸国の国々でこのような差が生じた理由は様々な要因があるだろうが、大勢の人々が参加する民主化が如何に大変かを物語っている。
一方、北朝鮮の将来はどうなるであろうか。北朝鮮の国内事情はよく分からないが、国民の民主化を求めるデモの話は聞いた事が無い。
北朝鮮メディアは今月1日、金正恩朝鮮労働党総書記が昨年12月26~31日開催の党中央委員会拡大総会で、韓国攻撃用の戦術核兵器の量産に向け、核弾頭の保有量を大幅に増やす方針を中心にした2023年の核戦略を表明したと伝えたそうだ。
金正恩はリビアを反面教師とし、核・ミサイル開発に突き進んでいる。北朝鮮は日本を始めとし、米国や西側諸国から厳し経済制裁を受けている筈であり、国民は貧困に喘いでいるとの話も聞くが、核開発する資金をどこから得るのか不思議だ。ロシアのウクライナ侵攻を助けるロシアの民間軍事組織ワグネルに武器を売って資金を得ているとの噂もあるが、その裏にはロシアや中国の支援もあるだろう。
アラブ諸国の民主化への道は遠いが、北朝鮮の道は一層遠い。
2023.02.08(犬賀 大好ー887)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます