コロナ騒動等で小・中学校の休みが増えるとやせ衰える子どもが増えるとの話をよく聞く。現在日本では7人に1人の子どもが貧困で苦しんでいるそうで、一人親家庭、特に母子家庭において顕著であり、その原因は子育てと就労の両立が難しく、子どもを育てながら就けるのは低所得のパートや臨時雇用のためであると言われている。
しかし、世界には日本よりもさらに貧困に悩んでいる国がたくさんあるようだ。アメリカを含むヨーロッパ諸国では、国内での富裕層と一般層との所得の差は広がる一方であり、経済成長の中で資産の増大は一部の富裕層のみとなっているのだ。
貧富の差は国家間にも存在するが、一見豊かな国であっても、その中に貧富の差があり、経済発展が著しいほど大きいように思える。近年中国の経済の発展は著しくGDPは日本を抜き、米国に次ぐ世界第2の経済大国となっているが、国民の間の貧富の差は日本どころではないようだ。
2021年7月初め、中国共産党の結党100周年を祝う式典が華々しく開催された。そこで習近平総書記は中国が全ての面で小康社会(ややゆとりのある社会)の実現の目標を達成したと自慢げに宣言した。しかし、同じ時期、李克強首相は月収1000元(約1.5万円)の人達が6億人いると記者団に答えたそうだ。
コロナ騒動前、中国からの観光客が日本に大挙して押し寄せ爆買する様子をテレビで見て、中国の経済発展はすざましいと感心する一方、日本への出稼ぎ労働者が相変わらず多いことが不思議であった。
一般に経済活動は効率化の追求であり、第2次産業においてはより良い物をより安く作りより安く売ることが根底にあり、そこでの競争に勝つ者があれば敗れる者が生じ、その競争に参加すら出来ない者もいる。資本主義社会においては、資金を豊富に有する者がより有利であり、経済発展は必然的に経済格差を生むのだ。
8月18日、習近平氏は中央財経委員会で”共同富裕(格差を縮めて社会全体を豊かにする)”政策に本格着手することを宣言した。実現した小康社会において格差の大きいことを認めたのだ。
共同富裕とは税制や社会保障政策の改革で富の分配を促し、中間層を膨らませる政策であり、3つの分配からなるのだそうだ。第1次分配では経済活動による分配、第2次分配では徴税など政府権力による分配で、第3次分配は個人や団体が自発的に寄付などで第三者に分け与えることからなるようだ。
中国は1党独裁国家であるので、第2次分配における国家権力で富の再配分をやれば済むと思えるが、これは”殺富済貧”政策だそうで、中国の歴史でうまくいった例が無いとのことで、この政策だけではうまくいかないようだ。
米国でもトランプ前大統領が国内の経済格差の問題を掘り起こしたが、1980年以降に米国経済を復活させた新自由主義が経済格差を拡大させたとの見方が一般的である。
日本でも安倍政権下での異次元金融緩和は莫大な資金を市場にばら撒いたが、その恩恵を蒙ったのは元々金のある連中で、トリクルダウン効果はほとんど無かったとのことだ。2021.09.04(犬賀 大好ー743)
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