日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

菅次期首相に取り組んでもらいたい重要課題

2020年09月09日 08時59分02秒 | 日々雑感
 安倍首相は8月28日夕方の記者会見で辞意を表明した。その後二階幹事長の素早い動きにより、主たる派閥の長は菅官房長官の次期首相に賛同し、ほぼ菅新首相に決定したも同然となった。次期首相を巡り自民党内で激しい論戦があるものと期待していたが、自民党の国会議員は政治的な空白を避けるとの大義名分に同調したのか、二階幹事長の根回しが功を奏したのか、流れは決まってしまった。

 菅氏は出馬表明で、アベノミクスというものをしっかりと責任を持って引き継いで更に前に進めていきたいと、安倍政策踏襲を宣言した。菅氏は一貫して安倍政権を支えてきた官房長官であり、安倍政策を続行するとすれば、この人以上の適任者はいないが、同時に負の遺産も更に上積みされることになる。

 また、菅氏は出馬表明で若い頃の苦労話を語り、弱者の味方のイメージを売り込んだが、10年近い間権力の座に安住し、昔の苦労を忘れ去ったと懸念する。菅氏は、少なくとも安倍政策の検証を行い、良い所は引き継ぐが、悪い所は修正すると一言言って欲しかった。

 安倍首相は異次元金融緩和に代表されるアベノミクスを断行し、株価の高騰、有効求人倍率の高止まりの実績を残したが、同時に負の遺産も多く残した。

 一番大きな遺産は、崖っぷちの国家財政であろう。国の借金は1100兆円を越えているが、財政健全化は夢のまた夢状態である。現在貨幣理論(MMT)により、国の借金はお金を刷り増しさえすれば問題無しとする考えが次第に強くなっている気がするが、どう考えても健全な考えではない。現在なおデフレ状態でインフレの予兆は見えないが、今のうちに何かしらの手を打つ必要がある。

 アベノミクスは国家財政の危機を促したが、経済格差の拡大にも貢献している。すなわちグローバル化による経済格差の拡大もあるが、赤字国債発行も一因である。国債を買える人は金に余裕のある人である。国家財政の歳入は1/3が赤字国債であり、歳出の1/3は国債の利払いである。国は自転車操業に陥っているのに、国債利子で設けるのは金に余裕のある人で益々金に余裕が出来、経済格差を助長する。

 この他、国家的な課題として、原子力発電を中心とするエネルギー問題、安全保障や領土問題等の外交問題があるが、安倍政権は課題を先送りしたままであり、菅新政権は課題をそのまま受け継ぐのであろうが、これらの問題に対する言及はない。

 自ら解決できそうな負の遺産は、森・加計学園問題や桜を見る会の問題であるが、既に解決済みとの判断で、財務省の官僚自殺問題も解決済みと扱われるのであろうか。これでは弱者の味方の片鱗も無い。

 菅氏は第1次安倍政権で総務相として”ふるさと納税”を成立させたこと、また官房長官として外国人観光客の誘致拡大や農産品の輸出促進に取り組んだことを実績としてアピールし、今後、携帯電話の通信料の値下げや縦割り行政の是正に取り組むことも強調している。

 それはそれで結構であるが、日本の新首相として、日本の将来を決める大きな政策課題に取り組んでもらいたい。これらの問題は、長年問題があると認識されながらも、従来からの方針に囚われ、問題を先送りし、積もりに積もっているのだが。2020.09.09(犬賀 大好-633)



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