来年のオリンピックの開催に関し、それまでに新型コロナウイルスの終焉が危ぶまれる為、東京都やオリンピック組織委員会は完全な形での実施を諦め簡素化を検討し始めている。例えば、開閉会式の出席人数限定、時間短縮や聖火リレーの廃止、競技種目や出場選手の制限等が検討されるのであろうが、少なくとも自国の都合しか考えていない。
オリンピックは平和の祭典である。世界中から選手や観客が集まり、選手と観客が一体となるお祭りである。簡素化の中には無観客にして競技する手もあるだろうが、これでは選手の為の大会となり平和の祭典の名前が泣く。簡素化により開催費が縮小されても、何百億円~何千兆円の運営費が必要だろう。このような金は発展途上国でのコロナ対策に回した方が、世界の平和に貢献できる。
いつも世界のどこかで食糧危機や難民問題が発生しているが、一部地域の他人事としてオリンピックは実行されてきた。しかし、今回のコロナウイルス騒動は世界中まんべんなくある。来年の今頃は先進国では騒動も収まり、いつもの社会生活に戻っているかも知れないが、発展途上国でも収束しているとは到底思えない。
発展途上国では経済システムが脆弱であるため、感染拡大防止の為の社会的な規制が直ちに経済の混迷に直結してしまう。物流の停止に留まらず、失業問題が顕在化し、拡大防止対策どころではなくなる。しかも医療資源が不足していることも重なり感染拡大を爆発させる。
ブラジルの大統領は経済の失墜を懸念し、感染拡大防止対策をしなかったため累積感染者数は6月20日100万人を越え世界第2位となった。しかも感染はアマゾン熱帯雨林で暮らす先住民族にまで及んでいるそうだ。先住民族は外界との接触が少ないため感染しないと楽観視されていたが、免疫力が弱いため多数の感染死、強いては民族絶滅が懸念されるそうだ。
インドでも感染拡大に歯止めはかかっておらず、6月18日の累計感染者数38.1万人となった。しかしインド政府は経済の混乱の為封鎖を続けることが難しくなり、新型コロナとうまく共存しながら経済を正常軌道に戻そうと模索しており、長期に及ぶ共存を覚悟しているようだ。
アフリカ諸国での感染も広がりを見せている。約10億人いるアフリカ大陸にはWHOの施設が28カ所にあるが、このうち新型コロナウィルスの感染を照会できるのは2カ所しかないそうだ。そのため、ほとんどの国では、検査結果の照会は国外にある研究所に頼るため、時間もコストもかかる。更に、医療設備の貧困さは推して知るべしであり、感染爆発が起こりつつある。ワクチンの開発は先進国で急であり、その内完成するかも知れないが、アフリカ大陸に行き渡るためには更に数年先になろう。
来年予定される東京五輪へのアフリカからの参加予定国は50ヵ国以上ある。東京五輪が開催されてもこれらの国はコロナ騒ぎで選手をオリンピックへ派遣する余裕がないだろう。世界の国々はこの惨状を横目に見ながらお祭り騒ぎが出来る筈が無い。
東京五輪の中止は莫大な損失を生むだろうが、現時点での中止決定は最小限の損失で押さえられるであろう。2020.06.24(犬賀 大好-611)
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