立憲民主党の小西参院議員が入手した総務省の内部文書には、2015年3月9日付で総務省の大臣官房参事官から情報流通行政局長への連絡として、高市議員と当時の安倍首相の電話会談の結果が記されている。この中で総理の今までの放送法の解釈がおかしいとの発言があり、実際に問題と考えている番組を複数例示していたようだ。この文書を、松本剛明総務相は総務省の行政文書であることを認めた。
それまで放送法4条の定める”政治的公平”の解釈は、ひとつの番組ではなく放送事業者の番組全体を見て判断するするとの原則であったが、2015年、当時の高市総務相は、ひとつの番組だけで判断する場合があると国会で明言したが、長年の原則を実質的に大きく転換する内容だった。この高市氏の発言の根拠となった資料が先述の官邸と総務省のやりとりを示した行政文書だ。
高市現経済安全保障担当相は今年3月7日午前の記者会見で、文書に記された総務相時代の自身の発言について、この文書は捏造であり内容は不正確であると理解しているとの考えを示した。もし捏造で無かった場合、議員辞職も辞さない考えを示した。
そもそも10年程前の行政文書が今頃になり話題になるか不思議だが、今頃になって公になったことが切っ掛けのようだ。高市氏は文書が捏造であると主張し、捏造で無かったならば議員を辞職すると言い切ったが、この口調は安倍元首相を思い出させる。
高市氏は安倍政権下の2014年9月から2017年8月まで総務相を勤めたが、任期の途中の2017年2月、大阪・豊中市の国有地が、小学校の建設用地として学校法人「森友学園」に鑑定価格より大幅に安く売却されていたことが明らかになった。
これに対して国会では野党が売却の経緯や政治家の関与の有無などを追及した。安倍氏は、国有地に払い下げに私や妻が関係していれば総理大臣も国会議員も辞める等と述べ、関与を強く否定したのだ。
先の高市氏の辞任発言は安倍元首相の発言とそっくりであり、官僚は政治家の言いなりになると高を括っているのだろう。森友学園に関わる国有地払い下げに関する裁判では国の関与は認定されず、森友学園の籠池夫婦の個人的な問題に帰着された。政治家の問題発言も官僚が何とか取り繕ってくれるとの傲慢な態度が伺われるが、官僚の人事権を握る首相の下では官僚は政治家の言いなりになる必要があるのだろう。
先の行政文書に関し、高市議員が捏造と主張しているのは、当時総務大臣だった自身の名前が登場する2015年2月13日の「高市大臣レク結果」と書かれた文書であり、高市氏は、この存在をこれまで重ねて否定してきた。しかし、総務省の小笠原情報流通行政局長は放送関係の大臣レクがあった可能性が高いと考えられると証言し、高市氏を支援する発言では無かった。高市議員の経済安全保障担当相の肩書では人事権を発揮することは出来ないのだろうと勘繰ることが出来る。2023.03.15(犬賀 大好ー897)
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