少子高齢化社会を反映してか、所有者不明の土地が増えているとのことだ。所有者不明土地とは、不動産登記簿を確認しても所有者が分からない土地、または所有者は分かっていてもその所在が不明で所有者に連絡がつかない土地のことだ。
このような土地が日本各地で増加しており、その面積を合わせると、九州よりも広く、国土の約22%(2017年度国土交通省調べ)にも及んでいるそうだ。日本は目下少子高齢化社会の真っただ中にあり、所有者不明土地は更に増え続け2040年には北海道の約9割程度の広さの土地が所有者不明となってしまうと言われている。
所有者不明土地は、公共事業や復旧・復興事業を行う際、所有者の特定に多大な時間と費用を要するため事業実施の支障となり、また民間取引や土地の利活用の阻害要因ともなっている。また、このような土地では適正な管理がされず、雑草の繁茂、ゴミ等の不法投棄、害虫の発生等により、周辺の地域に著しい悪影響を及ぼす恐れがある。また土砂の流出や崩壊等により周辺の土地に災害を発生させる恐れもある。
しかし1986年から1990年頃にかけて、日本では株価や地価といった資産価値が上昇し、好景気が続くバブル経済時代となり、土地神話と言う言葉まであった。すなわち、不動産地価は必ず上昇し続けるという、現在では信じられないような時代があり、所有者不明との概念すら無かった。
時代も変われば変わるもので、最近では価格がほとんどなくなり、登記費用がかかったり、遺産分割協議を行うのが面倒であったりして、登記を放置してしまう土地が全国各地に発生している。資産価値が無くなっているのも、土地を活用する人の減少、すなわち少子高齢化社会を反映しているのであろう。
これまで相続登記の義務が無かったことも背景にあり、政府も不動産登記の制度を見直し、相続登記の申請を2024年4月から義務化することにした。また土地を相続した人が、不要な土地を手放して、国に引き渡すことができる”相続土地国庫帰属制度”を2023年4月27日施行した。土地を相続しても、資産価値が無ければ売ることも出来ず、固定資産税や管理費がかかるばかりで、まさに負の遺産となり放棄されるのを防ぐための一手段である。
しかし、国が引き取ってくれると言ってもタダで引き取ってくれる訳ではなく、宅地や田畑は、一部例外があるものの、面積にかかわらず原則20万円の負担金を支払わなくてはならない。国は引き取った後どのように利用するのであろうか。食料自給率の低い日本にとって大規模化し、機械化等で大規模農業をしたいところであるが、一番の問題はこのような土地が纏まってある訳ではなく全国各地に点在していることのようだ。
このような細切れの土地をどう生かすか。皆目見当がつかない。福島原発事故で人のいなくなった土地は2、3年で草木が生い茂り野生動物の天国になったとの話だ。将来の日本は動物と共存する自然豊かな国となってくれれば良いが。
所有者不明土地とは異なるが耕作放棄地や空き家も同様に少子高齢化社会の落とし子だ。2023.05.06(犬賀 大好ー912)
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