日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

フランスやスウェーデンにおける少子化対策は特殊だが

2023年05月10日 10時30分40秒 | 日々雑感
 岸田首相は異次元の少子化対策を検討している。少子化対策の柱は、・児童手当など経済的支援の強化、・学童保育や病児保育、産後ケアなどの支援拡充、・働き方改革の推進、の三つとなるようだ。フランスやスウェーデンにおいては、我が国に先立ち少子化対策を強力に推し進めており、岸田首相もこれを参考にしている思われるが、今のところ網羅的で焦点が定まっていない。

 フランスの2020年の合計特殊出生率は1.83とEU内でもっとも高く、スウェーデンは1.66でその後を追う。フランスでは、出生率が1994年に1.65で最低となり、2010年に2.01に回復し、スウェーデンでは1999年に1.5で最低となり、2010年には1.98と回復している。両国ともに近年は出生率が下落傾向にあるが、それでも日本の現在の1.30に比べると高く、見習う点が多いと思われるからである。

 さて、両国のGDPに占める少子化対策への公的支出の割合は、スウェーデンが3.4%、フランスは2.9%と、日本(1.6%)の2倍前後に上る。両国は多額の予算と制度を駆使して出生率を高めようと努力している。

 岸田首相は2月15日の衆院予算委員会で、GDP比2%の約10兆円規模の「家族関係社会支出」を倍増する、と受け取れるような答弁をした。この日本語を素直に解釈すれば、家族関係予算は現在GDP比2%に相当する10兆円でありそれを倍増すなわち20兆円と、すなわち4%にすることになり、まず公的支出を見習い、同規模の予算を計上しようとしているのだろう。

 しかし2022年度の少子化対策関係予算は約6兆1千億円だ。4月に発足した「こども家庭庁」の2023年度予算は約4.8兆円が計上されており、先述の20兆円からすると随分少ない。ところで、少子化対策の具体的中身であるが、児童手当の支給、保育園の充実や育児休暇の拡充等似たり寄ったりである。これらの拡大には多額の資金が必要となるが、岸田首相の倍増計画からすれば、まだ余裕があり、増やすことは簡単だが財源が定かでない。

 ウェーデンで特徴的なのはサムボ(事実婚、同棲)制度である。サムボとは、登録している住所を同じくし、継続して共同生活を営み、性的関係をもつカップルの事だそうだ。日本でも足入れ婚と言う風習があった地域もあったが、こちらは家族制度の一環であり、似て非なる制度である。

 サムボで生まれた婚外子の割合は2008年54.7%と半分以上を占めており、未婚のまま子どもを産む事が社会的に認知されている。この効果として少子化を食い止めたと言っても、男女機会均等から出発した家族政策や女性解放政策が背景にあり、日本で到底真似ができない制度だろう。

 フランスでも出生率の高さには移民との特殊背景があるようで、日本ではおいそれと真似ができない。さて、岸田首相や小倉少子化担当相は歴代の政府が出来なかった難問をどうやって切り開くのだろう。
2023.05.10(犬賀 大好ー913)


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