日本の菅首相は2050年までに、中国の習近平総書記は2060年までに温室効果ガス排出実質ゼロ宣言をしている。欧米の先進国は達成年がいずれも2050年で、中国は10年も遅いと侮っていたがとんでもないようだ。
日本は、2011年に起こった東日本大震災の影響で国内の原子力発電所が停止し、そのため現在の化石燃料への依存度が85.5%となっているそうで、地球温暖化対策の遅れで先進国から批判の的になっている。一方エネルギー後進国と馬鹿にしていた中国も69.7%と高いが日本ほどでは無い。
政府は、2050年の脱炭素社会の実現に向けて、2030年度の電源構成としては、火力発電を56%(LNG27%程度、石炭26%程度、石油3%程度)、再生可能エネルギー22〜24%程度、 原子力20〜22%程度、を目指している。炭酸ガス(CO2)の排出量が多い石炭は、2018年度は30%程度であり目標の26%に近いが、2011年の原発事故以後に電力不足を補うため2015年まで増え続け、以降約30%と高止まりしたままで、下げるのは容易では無いとのことだ。2050年の実質ゼロで、火力発電がどこまで許されるか不明であるが、簡単な話では無さそうだ。
化石燃料への依存を少なくするためには、自然エネルギーか原子力エネルギーに頼らざるを得ないが、日本の自然エネルギーの利用では2018年度水力を含めて11.7%であるが、中国では2017年に26.5%と日本の2倍以上であり、この点でも中国の方が進んでいるのだ。
2019年のエネルギー白書によれば、日本の電源構成は2016年から2030年までに再生可能エネルギーの利用を16%から22~24%と増加するとしているが、中国は日本の2030年の目標に既に達しているのだ。中国をエネルギー後進国と馬鹿に出来ない。
資源エネルギー庁では、昨年暮れにエネルギー基本計画の見直しを検討していたようだが、2050年の実質ゼロに向けて原子力の復活が話題となったようだ。日本では国民の原発アレルギーが強いが、世界全体で見れば、新興国では経済発展、電力需要の増加が著しく、少量の燃料で大きなエネルギーを取り出すことができ、かつ温室効果ガスを排出しない原子力エネルギーの需要は、拡大の傾向にあるようだ。
エネルギー基本計画を現在の予定では、2030年度に目指す電源構成を・再生可能エネルギー22%から24%、・原子力20%から22%、・火力56%程度としているようだが、国民の反発が大きい原子力を減らし再生可能エネルギーを大きくする必要がある。
中国では、2040年までに火力への依存を60%にして、太陽光発電や風力発電の再生可能エネルギー27%、原子力発電を7%程度にすると予測されている。中国は国土が広く、人口も多く、単に割合だけで論ぜられないが、率的な面では欧米からも中国からも批判されないように、日本は頑張らなくてはならない。2021.03.17(犬賀 大好ー686)
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