菅首相は、3日首都圏の1都3県で継続している新型コロナウイルス緊急事態宣言を2週間延長する決定した。経済の疲弊を懸念し早期の解除を目指してきたが、新規感染者の減少ペースが鈍った上、1都3県の知事が解除に慎重な姿勢であることも考慮した結果であろう。延長を2週間とした理由は、解除か延長か決め手が無く、判断するための時間が欲しかったが本音であろう。
さて、延長された2週間、感染拡大防止の為なすべきことは、飲食店の時間短縮、不要不急の外出の自粛やテレワーク、等これまでとほとんど変わりが無く、テレビを通じて自粛を呼びかける等の工夫はあるものの、感染者が決定的に減少するようには思えない。
しかし、今回注目すべき新しい施策として、高齢者施設などにおける感染を早期に発見し、クラスターの発生を防ぐため、PCR検査を3月末までに約3万の施設で検査を行うこと、また、市中感染を探知するため、現在栃木県等で実施している無症状者のモニタリング検査を、今後大都市でも規模を拡大して実施する、方針を示したのだ。
PCR検査の必要性は1年も前から一部の識者が主張していたが、ここに来てようやくその重要性が認識されたようだ。PCR検査が一斉全員検査であっても、一部地域のサンプリング検査であっても、現在の様な医者が必要と認めた人限定よりはるかに多くの情報が得られる。
現在モニタリング調査は栃木県ばかりでなく広島県でも行われている筈だ。広島県は当初28万人に任意、無料の検査をすると予定していた。しかし、菅首相は、全員を対象とするような大規模検査は、かなりのコストと医療資源が必要になる一方、検査に時間を要するほど、検査で陰性になっても、その後に感染する可能性が高くなってしまうことに留意が必要との見解を示し、PCR検査には消極的であった。
最近、民間の簡易PCR検査キットが出回り、安く検査できるようになっているようで、無料で何回でも検査できる国もある程だ。政府の新型コロナ対策本部には尾身会長を始め、感染の専門家も何人もいる筈だが、PCR検査の大切さが今頃になってようやく認識されるようになったとは情けない話だ。
尾身会長も首都圏においては他の地域に比べて、感染、クラスターの源が分からないことが多く、感染源の特定が困難となっているとの認識を示しているが、PCR検査を活用する手が残っている。
地域を限定したサンプリング調査と結果の統計処理により、比較的安価に無症状者を含めた感染状況が把握できる筈だ。尾身氏自身こんなこと十分分かっている筈だが。
さて、延長された2週間の緊急事態宣言下で個人的には今更何が出来るであろうか。感染者数が下げ止まりしている原因にコロナ疲れやコロナ慣れがあるが、多くの国民にはコロナが他人事のように思われているのも原因の一つではないか。3月始めコロナの累積感染者数は43.8万人と多いが、日本国民1.3億人の僅か0.3%程度だ。コロナ感染者の個人情報保護が厳し過ぎる為、近隣の話題として全く上がってこない。一方では感染者に対する差別が激しいとの声も聞かれ、個人を特定できる情報の公開は無理であろうが、東京都の場合現在の区あるいは市単位の発表から町単位にまでしたらもっと身近に感じ、緊張感が高まるのでは無いだろうか。2021.03.10(犬賀 大好ー684)
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