日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

大阪地検特捜部は官僚の壁に穴を開けられるか

2017年05月27日 09時19分05秒 | 日々雑感
 米司法省は5月17日、昨年の米大統領選にロシア政府が干渉した疑惑の捜査を指揮する特別検察官にロバート・モラー元連邦捜査局(FBI)長官を任命したと発表した。トランプ大統領は、魔女狩りだと感情的に反論しているが、どうも窮地に追い込まれたようだ。

 この特別検察官は、大統領が任命する司法長官が任命するのだそうだ。この点で司法長官は大統領の意向に逆らえないことになるが、司法長官はこの件を副長官に任せたとのことで、大統領の意に反する決定がなされた分けだ。米国では三権分立を守る個人の信念が強固であると改めて感ずる。

 一方、我が日本でも安倍首相に関係するかも知れない捜査が始まっている。森友学園が大阪府の補助金を不正受給したとされる問題で、府が5月19日に行政機関として初めて大阪地検特捜部に告訴したのだ。

 特捜部はこれまでに、国の補助金に関して籠池前理事長に対する補助金適正化法違反容疑と、学園に大阪府豊中市の国有地を格安で売却したとする近畿財務局職員への背任容疑でそれぞれ告発状を受理している。

 また、学園への国有地売却に関しては、近畿財務局が地下からごみが見つかったとして、国有地の鑑定額からごみの撤去費8億円余りを差し引いて昨年6月に学園に売却した。これに対し豊中市議らが、国に損害を与えたなどとして、近畿財務局職員を氏名不詳のまま背任容疑で大阪地検に告発している。

 特捜部と云えば東京地検特捜部が有名であり、過去に田中角栄元首相が逮捕されたロッキード事件、未公開株を受け取った政治家や官僚らが起訴されたリクルート事件、ライブドアの粉飾決算事件などを手がけてきた輝かしい歴史がある。

 一方、大阪地検特捜部も有名ではあるが、こちらには不名誉な前歴で有名である。大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件である。2010年に、大阪地方検察庁特別捜査部所属で、主任検事であった前田恒彦が、証拠物件のフロッピーディスクを改竄したとして証拠隠滅の容疑で、元特捜部長の大坪弘道、元副部長の佐賀元明が犯人隠避の容疑で、それぞれ逮捕された事件である。これは、単なる個人の犯罪のみではなく、組織ぐるみの犯罪であった点で、大阪地検の名誉を著しく傷つけた。

 日本も三権分立を憲法で定めているが、米国に比べて日本の司法はだらしない。最高裁の判事は、政府の意向を忖度して、砂川裁判においては高度な政治的判断は出来ないと言ったり、また、国会議員の定数問題では違憲状態であると曖昧な表現しか出来ないのだ。判事の任命権を首相が握るため、政府の意向には逆らえないのだろうが、米国に比べるとやはり個人の気骨に欠けている。

 その気骨に欠ける最高裁の下部組織にあたる大阪地検の特捜部だが、ここで一発奮起を期待したい。例の事件後特捜部の組織、人事は一新されたと思うが、森友学園問題でどこまで真相に近づけるか、名誉回復のチャンスである。

 安倍首相は本人または夫人が関係していると分かれば、首相は当然議員も辞すると大見得を切っている。しかし、特捜部がいくら頑張っても安倍首相または夫人が直接指示したとの、証拠や証言は出てこないであろう。日本の官僚機構は組織としては鉄壁である。この組織の壁に穴をあけることが出来るか、心許ないが期待しよう。

 期待していると言いながら、一方では残念な結果が予想される。恐らく、この事件は首相周辺が勝手に忖度して動いた事件であるで落着するであろう。この場合、責任の所在は曖昧になり、精々関係者が減給何か月で処分されるのが落ちであろう。よくある話である。2017.05.27(犬賀 大好-341)

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