日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

東京五輪開催から見えるIOCの特権意識

2021年06月09日 09時29分55秒 | 日々雑感
 国際オリンピック委員会(IOC)は無観客でも東京五輪を強硬開催するつもりだ。開催さえすれば、IOCの総収入の70%を占める米テレビ局NBCから五輪中継権料が入るからだ。IOCはオリンピックの開催権を有し、日本がいくらコロナ感染リスクが高いと叫んだどころで、聞く耳を持たない。東京都とIOCが結んでいる”開催都市契約2020”には中止する権利はIOCが有すると確かに書いてあるそうだ。

 6月中に最終版を発行予定の参加者の為のルールを定めたプレイブックには、細かに各種の決まりが書かれているようで、これらのルールをしっかり守れば感染対策は万全と強調しているが、海外からの客は日本人ほど順法意識が高くない。

 3月のフェンシング(ハンガリー)、4月のレスリング(カザフスタン)、5月の柔道(ロシア)等の国際大会で、マスクをしないでわめき散らす国が結構あったそうで、日本選手からもコロナ感染者が発生したとのことだ。日本人は決められたことはしっかり守り自粛警察も存在するが、ルールを軽んずる国もあるようで、ルールブックに記したからと言って万全ではない。

 違反すれば大会に参加する資格を剥奪する可能性もあると記されているようだが、どこまで厳密に運用されるか分からない。また、もし、感染者が出た場合の対処法、責任の所在が明確になっているのだろうか。

 この点IOCは責任逃れの手をちゃんと打っている。五輪参加選手から”大会期間中に新型コロナに感染しても本人の責任”という内容の誓約書を受けることにしているそうだ。これについて、IOCのバッハ会長も、かつて、自身も選手としてオリンピックに参加したがそのときも署名しなければならなかった、と述べ、その正当性を主張した。しかし、今回は前回までなかった重態や死亡への言及が含まれており、IOCの責任逃れの意図がありありと汲み取れる。

 更に問題なのは五輪ファミリーの特権意識だ。5月26日、新型コロナウイルス対策の一環として進めている来日関係者削減計画の詳細が発表されたが、約1.4万人の選手を除き、全体で約14.1万人から約5.9万人まで圧縮したが、”五輪ファミリー”と呼ばれるIOCの関係者3千人、各国・地域の国内オリンピック委員会(NOC)関係者1.5万人はそのまま維持されたとの内容だ。

 武藤組織委員会の事務総長は、運営に欠かせない人材と説明したが、中には家族も含まれているようであり、到底納得できる説明ではない。これらの特権意識の強い人々には、選手等に科せられるルールは適用外となろう。

 選手やその関係者には頻繁な検査と外部と接触させないバブル方式を採用し、安心安全の東京五輪を開催するとしているが、このバブル方式は当然日常生活に不自由を強いており、五輪ファミリーが納得するとは思われず、先述の事務総長も押し切られるであろう。

 兎も角かくも危ない橋を渡る覚悟でオリンピックを開催する意義は何だろうかと考えてしまう。オリンピックは世界平和の為の祭典の筈だが、IOCの事業ファーストや五輪ファミリーファーストが目に付く。2021.06.09(犬賀 大好ー709)


コメントを投稿