日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

日本の原子力発電の将来は真っ暗

2019年04月20日 09時05分07秒 | 日々雑感
 現在国が抱える原子力発電所に関する大きな問題は、福島第1原発事故の後始末、寿命の尽きた原発の廃炉処理問題、そして核燃料サイクルの維持だ。前の二つは過去の遺産の後始末であり目的が明確であるが、核燃料サイクルは高速増殖炉もんじゅの挫折により大幅な計画変更が求められているが、最終目標は定まらない。

 国のエネルギー基本政策では、2030年を目指し、原発の依存度を可能な限り低減するとしながらも、原子力電源の構成比率20~22%を維持するとしており、このために核燃料サイクルを維持するとともに、高速増殖炉に代わり高速炉の研究開発を続けるとしている。

 核燃料サイクルは、通常の原発で生じた使用済み核燃料よりプルトニウムを取り出し、高速増殖炉で使用すればプルトニウムは増え続けるため、資源の少ない日本にとって夢のサイクルと言われてきた。しかし、このサイクルの中核である高速増殖炉もんじゅの挫折により、サイクルそのものの存続が危ぶまれている。

 もんじゅの挫折は技術的な難しさに主原因があり、世界の主たる国でも撤退している。近年、原発の燃料であるウラン資源の世界的な枯渇の懸念が払拭され、プルトニウムを燃料とする燃料サイクルの開発意欲が以前より下がっている背景もあるようだ。

 そこで、核燃料サイクルを中止する手もあるが、中止はこれまでに蓄積してきたプルトニウムの処分、六ケ所村の再処理工場の行く末、関係者の処遇等、問題が多々あるため簡単には止められない。

 現在、高速増殖炉用として貯め込んできたプルトニウムの保有量は、国内に10トン、英仏に37トンあり、原爆6千発作ることが出来るそうだ。これを保有することにより、潜在的核保有国として安全保障上国際的地位を確保出来ると主張する輩もいる。

 しかし、日本は高速増殖炉の為にプルトニウムを生産して来たとの大義名分があり、国際的な信用を保つためにも増殖炉の開発を諦める分けにはいかない。そこで開発が遅れることを前提に、次善の策としてプルトニウムをMOX燃料として通常の原発で使用する抜け道を検討しているが、こちらも前途多難である。

 日本政府は昨年7月、日本が国内外に保有するプルトニウムについて、現状の約47トンを超えないようにする方針を表明した。2021年より六ケ所再処理工場の稼働で新たにプルトニウムが作り出される予定であり、プルトニウムが増える前に通常の原発でプルトニウムをウランと混ぜたMOX燃料として消費するプルサーマル発電を増やすつもりなのだ。

 なお、再処理工場の稼働を中止あるいは中断する手もあるが、通常原発で生じた使用済み核燃料の処理や従業員の処遇の問題もあるため、稼働せざるを得ないようだ。

 プルトニウムの保有を減らしていくために、電気事業連合会が目指すのは16~18基のプルサーマる発電であるが、再稼働した5原発9基の内、プルサーマルが出来るのは4基だけだそうで、前途多難だ。

 現在建設中の大間原子力発電所は、プルサーマル計画の一環として、全炉心でのMOX燃料利用による発電を目指しているとのことだが、焼け石に水状態であろう。

 政府は、高速増殖炉に代わるものとして高速炉を検討しているそうだ。これは、もんじゅと同じように使用済み燃料から取り出したプルトニウムを燃料とする原子炉であるが、中性子の増殖が無い点で異なり、夢の核燃料サイクルから一歩後退であるが、背に腹は代えられない。経産省ではすでに2014年から、年間50億円もの開発費を拠出、先発のフランスに人材も派遣しているが、高速炉に情熱を燃やす若い人材が集まるであろうか。2019.04.20(犬賀 大好-539)


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