7月4日の東京都議会選挙は、都民ファーストの会が選挙前の46議席から31議席と減らし、自民党が33議席を獲得して第1党に返り咲いた。都民ファーストの会は選挙前には大幅に減少するとの予想があったが、思いのほか健闘し第2党の立場を守った。これに対し、選挙前には自民党は公明党と併せて過半数は取れるとの楽観論があったようだが、過半数に達せず、惨敗模様である。
選挙前、東京五輪開催に反対する世論は半数を超えており小池都知事は世論の動向を見てそのうち反対表明をするとの予想していた{参照;2021.05.22(犬賀 大好ー704)}。しかし、開催都市の責任者として影響の大きさを認識してか、反対意見も積極的な賛成意見も発しなかった。小池都知事と都民ファーストの会は一体である筈であり、事前の打ち合わせがあったかも知れないが、都民ファーストの会は開催反対ではなく無観客開催を主張して選挙に臨んだ。
共産党が即時中止を求める中、都民ファーストの会の主張は中途半端であり、都知事の入院騒ぎも重なり、全面支援が期待できないファーストの会は半数近くにまで激減すると予想された。自民党の選挙対策本部も私と同様に思ったのであろう。行き場を失った票が自民党に流れ、大幅に投票数を増すと踏んだのであろうが、この予想は見事に外れた。
選挙運動の最終日の7月3日に小池都知事による各立候補者の事務所へ応援が入り、そこで都知事は無観客開催の決意を表明したとのことだ。入院中じっくり考えた結果であろう。
6月30日、東京都で新型コロナの新規感染者が716人となり、東京都に重点措置が1カ月間延長するという見通しも出ている中、東京五輪無観客開催の可能性が高まった。
それでも、菅首相はこれまでのルールに従うように、すなわち収容人数の50%か最大5000人の少ない方を観客数にすべきと主張しているようだ。7月4日、日本政府と東京オリンピック組織委員会は入場券購入者が5000人以下である競技は観客を受け入れ、5000人を上回る開会・閉会式や野球、サッカー、陸上などは無観客で開催する案を検討しているとの報道があった。
但し、無観客と言っても五輪関係者やスポンサー関係者は別枠だそうで、その規模1万人にもなるとの話だ。内訳は定かでないが、五輪ファミリーの横暴はさておき、スポンサーの力の大きさにも改めて驚かされる。
無観客と言っても、対象はあくまでも入場券購入者なのだ。これでオリンピックは世界の平和実現より、お金持ちや特権階級のエンターテイメントであることがはっきりした。ローマ時代の円形闘技場コロッセオを思い出させる。当時のローマ市民にとってコロッセオは、人や猛獣が戦うという刺激的な見世物を楽しむための娯楽施設だったそうで、現在のオリンピックはコロッセオに代わる娯楽に過ぎないのだ。2021.07.07(犬賀 大好ー717)
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