9月23日、地球温暖化対策に関わる国連気候行動サミットがニューヨークで開催された。国連事務総長は、2050年までに二酸化炭素排出量を正味ゼロにすることを目指し、各国に化石燃料への補助金を削減し、新規の石炭火力発電所の建設中止を求めると、宣言した。
また事務総長は、77ヵ国が2050年までに温室効果ガスの排出実質ゼロ実現を表明したと明らかにしたが、排出量のトップ4を占める中国、米国、日本、インドは排出ゼロに向けた具体的な道筋を示さなかった。
スウェーデンの環境活動家で16歳のグレタさんは若者の代表として登壇し、強い口調で失敗したら我々は許さない、と各国の指導者たちに警告した。地球温暖化は既に現実問題となっており、子供達の将来に一層大きくなると思われる問題に、当面の経済のことしか考えない国々の指導者に向けられたグレタさんの怒りが理解できる。
我が国の地球温暖化対策である「地球温暖化対策計画」が2016年に閣議決定されているが、この計画では、長期的目標として2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指すとしている。
この目標は国連での実質ゼロ目標に及ばないが、これまで色々な会議で各国が提唱していた目標が簡単に破られていたことを想うと、数値の大きさより確実に達成することが重要であると思われる。目標が達成されない理由は、罰則が無いためもあるかも知れないが、温暖化対策が経済活動と相反していることが一番大きいためであろう。
温室効果ガスを大量に発生する発電所に関しては、2018年の我が国での割合は、化石燃料発電が77.9%、原子力発電7.8%、再生可能エネルギー17.4%であり、温膣効果ガスの発生量が他に比べ圧倒的に大きい化石燃料発電が大きな割合を占めている。
さて、政府は昨年7月に閣議決定した第5次エネルギー基本計画では、2030年の電源構成比率を、化石燃料56%、原子力20~22%、再生可能エネルギー22~24%、としている。
原子力発電は、温室効果ガスを出さない大きな特徴があるが、福島第1原発事故以来、自然災害大国の日本では安全性に大いなる疑問が呈せられ、この目標を達成するには30基程度の原発稼働が必要とされるが、国民の不信感が強く、2030年の原発比率目標は実現困難であろう。
また、地球温暖化防止の観点からは、化石燃料発電を減らし、再生可能エネルギー発電を増やしたいが、自然に左右される不安定さがあるため、現在の技術では限度がある。
さて、国連気候行動サミットでの小泉進次郎環境大臣の活躍の場は無かったが、話題を求めるマスコミはこぞって環境大臣のセクシー発言を取り上げていた。セクシーとは格好良いとか魅力的であるとのニュアンスの現代風な使い方のようで、マスコミが取り上げるような大きな問題では無い。
第5次エネルギー基本計画では徹底した省エネルギー、再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の高効率化、原発依存度の可能な限りの低減といった格好の良い基本方針を掲げているが、問題はこれらをセクシーに如何に実現するかである。
個人レベルで可能な省エネルギー対策は早寝早起き等、セクシーとは真逆な地道な節約や節電であり、相当な我慢、忍耐努力が必要だ。温暖化対策はセクシーに出来る筈が無いと思うが。2019.10.02(犬賀 大好-536)
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