日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

中国にとって理想的な北朝鮮とは

2017年06月10日 09時55分30秒 | 日々雑感
 習近平主席は、トランプ大統領より北朝鮮の金正恩の懐柔を託された。中国は北朝鮮に対する経済的な圧力を強めている筈であるが、金正恩は一向に怯むことなく、ミサイル発射実験を繰り返し、近々核実験も行うのではないかとの懸念さえある。

 朝鮮半島は古代から現代に至るまで、中国の圧倒的な力に支配されてきた。金日成、金正日時代も中国の属国的な存在であり、自由主義諸国との緩衝地帯として重要な役目を担なってきたであろう。ここで万が一、金正恩が核やミサイルを放棄して米国と仲良くするようになると、緩衝地帯の役目が無くなり、中国にとっても望むところではないだろう。

 中国にとって現状維持が最もよいとのことであり、米国と北朝鮮の友好関係樹立も、北朝鮮の破滅も、願っていないのではないだろうか。このため中国の北朝鮮への経済制裁も本気になってやっているとは思えない。中国の基本政策は、徳川家康の百姓に対する政策と同様な、生かさず殺さずの政策のような気もする。

 北朝鮮と中国は血の同盟で結ばれていると言われているが、対等の関係ではないだろう。中国の圧倒的な軍事力、経済力に従わざるを得ないストレスが金正恩にあると予想される。核やミサイルの保有の真の狙いは、対米国より中国の束縛から逃れるためと勝手に想像している。韓国の李王朝時代の歴史ドラマでも、中国の圧政に苦しむ話がしばしば登場する。

 中国は金正恩を余りにも締め付けると暴発の恐れがある為、ミサイル実験程度であればと、黙認しているような気もする。しかし、核実験ともなれば、話は違ってくる。核保有国として世界から認められれば、中国の言うことを聞かなくなる恐れがあるためである。核実験を強行した場合米国は軍事的な行動に出ると言っているようであるが、中国はどのように出るであろうか。

 もし、北朝鮮が核実験を強行し、米軍が軍事的行動に出た場合、中国は米国ではなく北朝鮮を応援するだろう。トランプ大統領は国内の不人気を解消するため、一気に北朝鮮をつぶしたいと考えるかも知れないが、背後に中国が控えていると考えると、軍事的な行動は出来ないであろう。

 中国にとって北朝鮮の理想的な姿は言うがままに従う国であろう。金正恩が中国の言うことを聞かないのであれば、金正恩を外し、傀儡政権を立てることを画策するであろう。既に政治の裏舞台ではこのような動きがあったのかも知れない。金正男氏の殺害はこの動きを察知した結果かもしれない。

 正男氏の息子、金漢率(キムハンソル)氏は金日成主席の血を受け継ぐ。北朝鮮では金正男氏と並ぶ正統な体制承継者と見なされ得るため、次の有力後継者候補であるが、現在どこで何をしているのか全く不明である。恐らく中国が何処かにかくまっており、傀儡政権の樹立を企んでいると憶測している。

 金正恩は、一刻も早く核保有国として国際社会から認められ、国家として自立したいところであろう。これまでの核実験だけでは核保有国として認められていないため、追加の核実験を行いたいのであろうが、国際的な圧力、特に米国と中国の圧力は高まっている。従来の核保有国がこれまで勝手に核実験を行ってきたのに対し、彼らから非保有国が実験を行うのはけしからんと言われるのは、真に勝手な理屈だと言わざるを得ない。この意味では金正恩に同情する。

 ロシアのプーチン大統領は今月2日、北朝鮮の核開発問題に関し、”小さな国々は自分たちの独立と安全、主権を守るために、核兵器を持つ以外の方法が無いと考える”と、北朝鮮を弁護する発言をした。核を放棄したリビアのカダフィ大佐は失脚し、国家が今なお混乱している。核実験を強行したインドやパキスタンは、少なくとも表面的には国家は安定している。核保有の力がいかに強いか示唆している。イランも核開発は止めたことになっているが、恐らく陰では続けているに違いない。2017.06.10(犬賀 大好-345)

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