日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

大阪万博で未来社会をデザイン出来るか

2023年10月14日 14時18分03秒 | 日々雑感
 大阪・関西万博は2025年4月13日~10月13日の半年間、大阪の夢洲で開催される予定であるが、実施に当たり数多くの問題点が指摘されており、予定通り実施されるか懸念がある。一番大きな問題は開催テーマそのものだ。

 テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」である。現在、世界はウクライナとロシア間の紛争やイスラエルとパレスチナ間の紛争の真っただ中にあり、毎日多くの命が失われているが、将来どのような形で終息するか全く出口が見えない。1年半後の万博開場時に運よく紛争が終結したとしても、両者間で明るい未来社会のデザインが出来ているとは到底思えない。

 万博が描く未来社会では、街の中を無人自動車が縦横に行きかい、空には空飛ぶ車が走り回ると言った社会を描くのであろうが、現実の社会に紛争が絶えない原因を考えると、そこでどのような明るい未来を展示しようといのち輝く未来社会のデザインはまやかしと映るだろう。

 この点のみならず、大阪万博は問題だらけである。会場の建設費が誘致時点では1250億円だったものの、2020年に1850億円に増額され、そして今回当初の1.8倍である約2300億円程度まで増える見通しとなった。建設資材や人件費の高騰が主な要因とされているが、このような国家的プロジェクトで当初予算通りに済んだ試しはない。万博の開催費用は、国と大阪府・市、経済界が3分の1ずつ負担することになっている。国は1千兆円を越す借金を抱えているのに更に借金を増やすとはすっかり感覚が麻痺している。

 大阪万博の入場券の売り上げも当然当てにしているだろう。基本料金は大人7,500円に決まったそうだが、大阪ユニバーサルスタジオの入場券8000~1万円と比べれば安い感ではあるが、1970年の大阪万博程の熱気の高まりは感じられない。あるアンケート調査(2023年10月9日~10月11日)で「万博に行きたいですか」という質問に対しては、「はい」と答えた人が31%、「いいえ」と答えた人が69%。7割近い人が万博に魅力を感じていないようだ。

 また、パビリオン建設の遅れはマスコミで頻繁に報道されているが、遅れを取り戻すために来年4月から建設業に導入される時間外労働の上限規制を適用しないように、建設工事の関係団体から政府に要請があったようだ。この規制は働き方改革の一環であり、これまでの突貫工事を抑制する規制であり、いのち輝く社会の実現か、国家事業と考える万博の実施か、岸田首相の姿勢が問われる。

 先日2039年札幌冬季五輪の招致を断念したと報道があったが、その一因には広告企業電通の東京五輪に絡む談合事件の不祥事があり、電通は蚊帳の外に置かれている。大規模イベントの開催ノウハウを持つ電通の世論操作は巧みであり、「いのち輝く未来社会のデザイン」も既に変更されていたかも知れない。2023.10.14(犬賀 大好ー594)


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