菅首相は4月23日、新型コロナウイルスの第3回目の緊急事態宣言を東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に発令した。期間は4月25日から5月11日までであったが、人々のコロナ疲れ、コロナ慣れにより、感染拡大は思い通りには収まらず、6月20日まで再延長する羽目に追い込まれた。
一方、5月28日の記者会見で、緊急事態宣言下でも五輪開催が可能と考えるか問われても”当面は宣言を解除できるようにしたい”とだけ述べ、中止とも開催とも明言を避けた。9月末に自民党総裁任期が切れるが、続投に意欲を示す菅氏にとってどちらが有利になるか判断しかねているようだ。
さて、この秋には衆議院の総選挙も行われるが、国民の過半数が開催に否定的な現在、中止を打ち出した方が選挙に有利であろうが、共産党や最大野党の立憲民主党が選挙公約で開催中止を打ち出し先手を取られた。また、首相が着任時に宣言した国民の安心、安全が最重要となれば、中止を選択すべきであろうが、東京五輪開幕まで2ヶ月を切り、準備が着々と進み今更後には引けない感がする。
緊急事態宣言で国民に不要不急の外出を控えるようにお願いしながら、一方では五輪聖火リレーを続行し開催気分を盛り上げると言ったちぐはぐさが目立ち、昨年のGoToトラベル等もそうだあったが、優柔不断さが目立つ。内閣支持率は30%程度で政権発足以来最低とのことだ。
元々東京五輪開催を切っ掛けに内閣支持を一気に高めたい目論見であった。現在国民の多くが開催反対であっても、一旦始まれば国民はテレビに熱中するであろうから、支持率は回復するとの期待があるのかも知れない。
とかく対策遅れで何かと批判される菅首相は、逆転満塁ホームランを打とうと、新型コロナウイルス対策のワクチン接種の拡大に向け努力している。接種回数が現在1日平均40万回であるが、6月中旬までに100万回に引き上げようと必死になっているとの話だ。
24日にスタートした自衛隊による新型コロナウイルスワクチンの大規模接種もその一環である。菅首相は、7月末までの高齢者全員の接種完了に向け、1日100万回の接種目標を掲げている。大規模接種センターの稼働で、遅れが目立つ接種作業をてこ入れし、秋の総裁選を控え局面打開を狙う。
これもワクチンが充分に供給されているとの背景があるためであり、4月17日、日米首脳会談のため訪米していた菅首相がファイザー社の最高経営責任者に直接ワクチンの供給を申し出た成果とのことである。しかし、もう半年も早く、ワクチン供給が実現されていたならば、東京五輪も安心して開催出来ていたのではないかと、内心悔やんでいることだろう。
先日オーストラリアからソフトボール選手が事前合宿の為来日したが、毎日PCR検査を実施するとのこと。五輪開催時の10万人近い来日者に毎日PCR検査など到底無理であろう。なんせ日本におけるPCR検査数の少なさは世界的にも有名なようだ。検査拡充の話は安倍政権下でもあったが、未だにPCRの行政検査にこだわり、民間の検査を蔑ろにして、検査数は増えていない状況なのだ。2021.06.02(犬賀 大好ー707)
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