政府は、文化庁を京都府へ、消費者庁を徳島県へ移転する方針を3月中に決めるとのことである。これは、石破茂・地方創生相の意向の下、それぞれのトップである馳浩文科省大臣と河野太郎消費者相とが賛同を示していることから間違いなく決定されるであろう。
文化庁の京都移転は、京都が日本文化の発生の地であることからなんとなく理解できるが、消費者庁の徳島県への移転は、何だかよく分からない。
徳島県には全国屈指のブロードバンド環境が整っており、同県はこれまで東京で行われてきた会議や意思決定プロセスを、電子メールやテレビ会議等に置き換えることが可能であるとし、消費者庁の移転をはじめとする地方の再生に強い意欲を示しているとのことである。現に、徳島県の美波町に都会の経営者がサテライトオフィスを開設したり、数社が新たに起業したりするなど、地域活性化の動きが加速しているようだ。なお具体的な移転規模や時期は4月以降に調整されるらしい。
日本の高度経済成長期に、情報通信の発展に伴い、これからは地方の時代と騒がれたことがあった。テレビ会議等が実用化され、遠くに居ながら意志の疎通は十分行えるとし、本社機能が遠隔地にあっても十分こと足れるとの考えが生まれた。それに加え、東京の都市機能過密による公害や交通渋滞が発生したことから、第一生命は、時代を先取りし1967年に、神奈川県大井町の大井松田インターチェンジ近くに本社ビル「大井第一生命館」を完成させた。同社は1968年より2本社体制をとり、一時約3,100人が就業していたが、残念ながら2011年度に同ビルからの撤退を発表した。
理由は、施設の老朽化を挙げているが、同じ完成年度の霞ヶ関ビルが現在も立派に現役で存続しているので、決してビル自体の老朽化が原因とは考えられず、やはり、商売上の差しさわりがあったのであろう。いくら通信手段が発展しても、人間が直接顔と顔を突き合わせて話し合う程には、意思疎通ができなかったためであろう。
当時から比べ、現在の情報通信技術は各段に進歩したのは間違いない。テレビ会議における画像の解像度は飛躍的に上がり、細かな表情も分かるようになった。また、スカイプ等により簡便にテレビ電話出来るようになった。しかし、日本においては、遠まわしの言い方と、真意を顔つきで判断する傾向はまだ残っている。
さて、情報網が完備された徳島県に消費者庁が移転して成功するであろうか。消費者庁の実際の業務の内容をよく理解していないので、何とも言えない。電話の番号案内や、通信販売の苦情受付は既に地方に移って成功しているとのことである。顔色や表情により本心を探る仕事でなければ、十分地方移転は可能な筈だ。消費者庁にも色々な仕事があるに違いない。多分、消費者庁の全部門の移転は実現せず、ある部門のみが移転することになるのであろう。
この点、文化庁の京都府移転は、問題が少ない。既に新幹線があり、首都東京からは日帰り出張が可能な距離であり、近い将来には磁気浮上の超高速鉄道も出来る。科学技術の中心は東京、文化の中心は京都、と日本を特徴づけるくらいの将来展望があってもよい。
当然、文化庁と言えども他の官庁との関連は密にあると当事者は移転反対意見を出すだろう。2020年の東京オリンピックで一極集中は進んでいる。昨年1年間に転入が転出より多かったのは、東京圏の他、大阪や福岡、沖縄であり、それ以外はすべて人口減少である。地方分散は日本の将来を考え強力に推し進めるべきだ。強面の石破地方創生相の腕の見せ所でもある。2016.02.03(犬賀 大好-204)
文化庁の京都移転は、京都が日本文化の発生の地であることからなんとなく理解できるが、消費者庁の徳島県への移転は、何だかよく分からない。
徳島県には全国屈指のブロードバンド環境が整っており、同県はこれまで東京で行われてきた会議や意思決定プロセスを、電子メールやテレビ会議等に置き換えることが可能であるとし、消費者庁の移転をはじめとする地方の再生に強い意欲を示しているとのことである。現に、徳島県の美波町に都会の経営者がサテライトオフィスを開設したり、数社が新たに起業したりするなど、地域活性化の動きが加速しているようだ。なお具体的な移転規模や時期は4月以降に調整されるらしい。
日本の高度経済成長期に、情報通信の発展に伴い、これからは地方の時代と騒がれたことがあった。テレビ会議等が実用化され、遠くに居ながら意志の疎通は十分行えるとし、本社機能が遠隔地にあっても十分こと足れるとの考えが生まれた。それに加え、東京の都市機能過密による公害や交通渋滞が発生したことから、第一生命は、時代を先取りし1967年に、神奈川県大井町の大井松田インターチェンジ近くに本社ビル「大井第一生命館」を完成させた。同社は1968年より2本社体制をとり、一時約3,100人が就業していたが、残念ながら2011年度に同ビルからの撤退を発表した。
理由は、施設の老朽化を挙げているが、同じ完成年度の霞ヶ関ビルが現在も立派に現役で存続しているので、決してビル自体の老朽化が原因とは考えられず、やはり、商売上の差しさわりがあったのであろう。いくら通信手段が発展しても、人間が直接顔と顔を突き合わせて話し合う程には、意思疎通ができなかったためであろう。
当時から比べ、現在の情報通信技術は各段に進歩したのは間違いない。テレビ会議における画像の解像度は飛躍的に上がり、細かな表情も分かるようになった。また、スカイプ等により簡便にテレビ電話出来るようになった。しかし、日本においては、遠まわしの言い方と、真意を顔つきで判断する傾向はまだ残っている。
さて、情報網が完備された徳島県に消費者庁が移転して成功するであろうか。消費者庁の実際の業務の内容をよく理解していないので、何とも言えない。電話の番号案内や、通信販売の苦情受付は既に地方に移って成功しているとのことである。顔色や表情により本心を探る仕事でなければ、十分地方移転は可能な筈だ。消費者庁にも色々な仕事があるに違いない。多分、消費者庁の全部門の移転は実現せず、ある部門のみが移転することになるのであろう。
この点、文化庁の京都府移転は、問題が少ない。既に新幹線があり、首都東京からは日帰り出張が可能な距離であり、近い将来には磁気浮上の超高速鉄道も出来る。科学技術の中心は東京、文化の中心は京都、と日本を特徴づけるくらいの将来展望があってもよい。
当然、文化庁と言えども他の官庁との関連は密にあると当事者は移転反対意見を出すだろう。2020年の東京オリンピックで一極集中は進んでいる。昨年1年間に転入が転出より多かったのは、東京圏の他、大阪や福岡、沖縄であり、それ以外はすべて人口減少である。地方分散は日本の将来を考え強力に推し進めるべきだ。強面の石破地方創生相の腕の見せ所でもある。2016.02.03(犬賀 大好-204)
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