日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

日本が誇るハイブリッド自動車もいずれガラパゴス化する恐れがある

2020年12月16日 11時22分42秒 | 日々雑感
 日産が世界初のリチウムイオン電池搭載の電気自動車(EV)の販売を始めたのは、1991年のことでもう20年が経つが、一向にEVの人気が高まらない。EVの代表の”リーフ”の初代が登場した2010年から2019年までに販売された台数は、累計11万8000台に過ぎず、日本のEV市場シェアはいまだに1%以下だそうだ。 

 電気自動車は原理的に蓄電池とモータがあれば走り、ガソリン車のような複雑な内燃機関や変速機構を必要としない為、素人でも製造・販売できる可能性があり、値段は格段に安くできる期待があった。しかし、当初1回の充電で走れる距離は200km程度、しかも充電時間は5時間程度とガソリン車と比べ使用勝手が悪く、更に値段も高い欠点があった。

 原因は、蓄電池の性能が十分でなく、しかも高性能の電池は値段が高く、従って自動車価格も高かくなったのだ。しかし蓄電池は改良と大量生産により時間と共に、性能は上がり価格は下がり、十年も経たないうちにガソリン車と置き換わるものと期待されたが、電池性能の向上の期待は裏切られた。

 トヨタ自動車も当然電気自動車を始めると期待していたが、ハイブリッドカー(HV)の方に本腰を入れた。1997年10月、世界初の量産HVプリウスを発表した。HVはガソリンエンジンと電気モータの両方を有する為、電気自動車へのつなぎの技術でしかないと思われ、他の自動車メーカーは静観していた。究極のエコカーは電気自動車か燃料電池車であり、内燃機関とモーターという2つの動力を持つハイブリッドカーに利点はないというのが一般的な認識だった。価格も当然高かった。

 しかし、電池の性能が予期したほど向上せず、電気自動車は日産のリーフに代表されるように高価格のままであるが、ハイブリッドカーはガソリンエンジンと電気モータの両方の長所を生かし、日本ではいずれの自動車メーカも製造販売せざるを得ないようになり、世界に誇る日本の技術となった。

 菅首相は2050年までに温暖化ガスを実質ゼロにする目標を掲げ、自動車から排出される二酸化炭素(CO2)ゼロ化を目指すとも言明した。国内で出るCO2 の内、乗用車の排ガスなどの運輸部門は約2割も占めるからである。

 そこでガソリン車の新車販売を2030年代半ばに禁止する方向で、EVなどの導入を拡大する制度の最終調整に入ったようだ。自動車メーカーなどとの意見調整でどのような結論になるかはまだ未知数だが、トヨタ自動車の意向次第だろう。化石燃料自動車の販売禁止はすでに世界の大きな流れになっており、前述のHVもCO2を排出するが、日本の産業の屋台骨を支えるトヨタの主力商品であるHVを外すことは出来ないだろう。

 一方英政府は、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止する方針で、しかもHVの新車販売を2035年に廃止する予定だそうだ。欧米各国も同様な動きになると思うが、HVでは日本に対抗しきれなくなった背景もあるとのことだ。

 中国では50万円以下で購入できるEV車が今年販売を始め、インドではEVの多目的スポーツ車が実質100万円台前半で購入できるそうで、世界はEV化への動きが急である。世界のEV車の開発が盛んになると、携帯電話と同様に、日本が誇るHVもいずれガラパゴス化する恐れがある。
2020.12.16(犬賀 大好-661)


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