日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

小池都知事の名誉回復はなるか

2017年12月06日 16時43分09秒 | 日々雑感
 小池都知事の勢いはすっかり失われた。今年10月末の衆議院総選挙において希望の党の代表として国政に乗り出したが、民進党議員の希望の党への合流問題で大失敗をし、その後の総選挙で大敗を喫したことが象徴である。

 更に、11月13日に開票された葛飾区議選では、小池氏が特別顧問を務める地域政党、都民ファーストの会は、公認候補者5人のうち4人が落選し、当選は前職1人となった。希望の党が衆院選で失速したのに続き、都民ファーストの会も区議選で惨敗する結果になり、小池都知事の神通力はすっかり失われてしまった。

 11月10日には、希望の党の共同代表選挙が実施され、玉木雄一郎氏が初代共同代表に選出された。玉木氏は安保法制賛成、憲法改定賛成と小池氏に近く、それに安心したのか、同月14日小池氏が希望の党代表を辞任し、都知事に専念すると宣言した。ようやく元の鞘に納まった分けだ。

 小池氏の人気が凋落したと言え、依然として都知事であり、議会では都民ファーストの会が第1党であることには変わりは無い。そこでは指導力を充分発揮できるであろうし、また都知事選での公約である、待機児童ゼロ、残業ゼロ、満員電車ゼロ、ペット殺処分ゼロ、介護力ゼロ、都道電柱ゼロ、そして多摩格差ゼロ、を実現する義務がある。

 これらのゼロ計画はどれ一つとっても実現は容易でないが、実現できれば都の歴史に名を遺すであろう。しかし、残業ゼロに関しては都の職員に対して号令一下出来るかも知れないが、そうは出来ない一般企業からは総スカンを食うだろう。今でも待遇の良い都職員が更に厚遇されるとなると一般都民からも批判を受ける。この場合後世に悪名を遺すことになるが。

 また、総選挙での希望の党の選挙公約では、景気回復を確実にするため、2年後の消費税増税の凍結や代替財源として約300兆円ある大企業の内部留保への課税を検討するとした。希望の党は惨敗を喫したため、この選挙公約の実現は無くなったが、企業の内部留保の対する問題提起は、自民党にも影響している。これは小池氏の功績と言えるであろう。

 自民党の中堅・若手議員でつくる勉強会;次世代の税制を考える会は12日、企業の内部留保への課税を検討するよう政府や党税制調査会に働き掛けていく方針を固めたからだ。アベノミクス景気で企業は大儲けしているのに、企業が内部に大金を貯め込んで社員に還元しないのになぜ問題にならないか不思議に思っていたが、これで少しは理由がはっきりして来るだろう。

 さて、小池都知事のこれからの大きな課題は豊洲移転・築地再開発問題と2020年東京五輪・パラリンピックの開催である。ここにおいて手腕を発揮できれば、名誉回復となるかも知れない。

 前者に関し、今年6月発表の基本方針では豊洲市場の将来像を総合物流拠点とする一方、築地を食のテーマパーク機能を有する一大拠点とするとした。移転賛成、反対派が争う中、両者に花を持たせた旨い提案であると思ったが、そんなに甘くは無かった。

 豊洲市場内で商業施設”千客万来”を運営予定の万葉倶楽部が、築地との競合を懸念し撤退も検討すると表明したのだ。この時期に及んでなぜ言い出したのか理解できないが、これに呼応して地元の江東区長が千客万来施設の整備が確定しない限り、市場の受け入れを再考せざるを得ない、と表明した。江東区長は、豊洲が物流拠点だけでは集客できないと判断しているのであろう。

 小池氏は状況打開のため、千客万来を最優先するメッセージを出したが、さてどのように収めるであろうか。両者に良い顔をしたいが、共存は無理な気がする。

 最近マスコミの話題にならないが、築地移転の遅れは莫大な補償費用の発生につながっているはずであり、少しでも早く決着する必要がある。小池氏の腕の見せ所であり、名誉回復のチャンスでもある。2017.12.06(犬賀 大好-396)

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