コロナ禍に拘わらず日経平均株価は9月14日に3万円を越えて約31年ぶりの高値をつけ、その後は3万円を挟んで一進一退を繰り返している。高値の最大の原因は、異次元金融緩和やコロナ禍の経済対策で刷られた大量のお金が行き場を求めているからだと言われている。
その他の大きな理由として、日本の国家が大量に株式を保有しているため、安心して株式に投資できる背景もあるのではないかと感ずる。その筆頭が公的年金の積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)である。独立法人と言っても、実体は国であろう。
GPIFは2020年度末時点の運用資産は186.2兆円にのぼる世界最大級の機関投資家でもあり、安倍元総理が世界最大の機関投資家と豪語していた。GPIFの保有銘柄はトヨタ自動車 やソニーをはじめとする一流企業の銘柄で構成されている。上場企業の株式を直接保有する運用資産が約46兆円に達し、日本全体の株式時価総額748兆円に対して約6.3%を占め日本市場における最大の株主でもあるそうだ。国が大企業の大株主とは社会主義国も同然である。
さて、日本の年金制度は、2004年の年金制度改革で「百年安心プラン」が成立し、2100年までは安心して老後が過ごせる筈であったが、2019年「老後資金2,000万円問題」が世間を騒がせ、年金だけでは不十分なことが明らかになった。
日本の年金制度は少子高齢化の波をもろに受けて破綻寸前、否破綻しているも同然であるが、その昔厚労省の年金担当者が金のあるうち使えるだけ使ってしまおうと、保養施設等に無駄な投資をしてたことが夢のようだ。
このため、GPIFは株式を運用して儲け年金原資を補充することが役目であり、人口減少と生産性の伸び低下にも拘わらず、今年4月から6月の運用実績を発表し、およそ5兆円の黒字となり、2001年度からの累積の収益額が初めて100兆円を超え、過去最大となったと8月公表した。
この結果、2001年度に市場での運用を始めてからの収益率はプラス3.70%で、累積の収益額は過去最大の100兆3182億円と、初めて100兆円を超えた。
また、GPIF程ではないが、日銀も同様に株を購入している。2015年は年3兆円の買い付けを行ったそうだ。この金額は年毎に増え、2016年から年6兆円となり、コロナ危機で日本株が暴落した今年の3月から、暫定的に買い入れの上限を年間12兆円まで拡大すると決めたそうだ。正に国による買い支えだ。
日本全体の金余りとGPIFと日銀の株式の買い支えにより、12月15日の日経平均株価は2.8万円だそうだが、この株高も日本経済の実力以上なんだそうだ。どうも株価は綱渡り状態にあると感ずるが、経済学者の警鐘は聞こえてこない。2021.12.15 (犬賀 大好ー772)
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