日経平均株価は、11月に入って29年ぶりの高値を毎日のように更新している。11日の日経平均株価の終値は、1991年11月以来、29年ぶりに2.5万円台を回復したとのことだ。更に12月に入り5日連続の上昇となり、日経平均は早くも2.7万円台となる確率が高まってきたと煽る専門家もいる。
このようにコロナ騒動で経済は低迷しているにも拘わらず、株価は異常に高騰しているのだ。この原因に関してはネット上では様々な解説が見られる。分かり易いのは異次元金融緩和がもたらした金余り現象とのことである。更に日本の株式は政府関係が大量に購入しているから安心だと言う面もある。
異次元金融緩和は、投資を促し経済の活性化を図る目論見であった。しかし、投資先が見当たらず市中に金が溢れ、一部は不動産に回っているようだが、多くは株式に回っているようだ。これに輪をかけて国による株の買い支えが安心材料になり、投資家が一層買い漁るのであろう。
すなわち、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と日本銀行が、東証1部企業の8割にあたる約1830社で事実上の大株主となっているようで、国が大株主であれば倒産の心配なく安心して投資できるわけだ。
GPIFによる日本の主要企業の株式の取得規模は、2019年6月末時点で161.7兆円になり、安倍前総理が世界最大の機関投資家と豪語したそうだ。東証1部の時価総額を約669.0兆円とすると、24%となり、全体の約1/4を占め、日本の年金は企業の経営状況に大きく依存していることになる。
GPIF程ではないが、日銀も同様に株を購入している。2015年は年3兆円の買い付けを行ったそうだ。この金額は年毎に増え、2016年から年6兆円となり、コロナ危機で日本株が暴落した今年の3月から、暫定的に買い入れの上限を年間12兆円まで拡大すると決めたそうだ。正に国による買い支えだ。そして今年累積買い付け額はついに約33兆円に達したとのことだ。
国が大株主となれば、企業の運営に口出しし、必要となれば支援する必要が生じ、まるで社会主義国家の有様となる。
日産自動車は今年5月2019年度通期決算を発表したが、ゴーン元会長が海外に逃亡する等の不祥事で、当期純損失は6712億円の最終赤字となったとのことだ。そこで、政府系金融機関の日本政策投資銀行が1800億円の融資を実施した。しかも1800億円のうち、1300億円に政府保証を付けていたことがつい最近明らかになったそうだ。従って仮に返済が滞った場合は保証分の大半を実質、国が補填することになるのだそうだ。
政府は、日産自動車の救済の為1800億円の融資をしたのであろうし、更に国が所有する株式の値下がりを懸念して、政府保証となったのであろう。日産は当面生き延びたが、将来元気に生き延びる保証はない。窮地を政府が救ってくれると分かれば、どうしても経営は甘くなるのは、歴史が教える社会主義国家の没落の原因だ。
日産に例を見るように、企業に対する国の保護が手厚いこともあって、株価は高騰していると思われるが、経済の健全な姿ではないことは確かである。折りしも、菅首相は温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロとする目標を立てた。目標達成のためには企業の並々ならぬ努力を必要とするが、この甘やかし体質が凶と出なければよいと思う。2020.12.09(犬賀 大好-659)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます