日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

少子化時代の外国人労働者の役目

2022年08月10日 09時42分06秒 | 日々雑感
 日本の出生率は年々減少し、働き手がどんどん少なる見込みで、それをカバーするため、我が国は外国人労働者の増加を目論んでいる。現在、新型コロナウイルス感染の第7波の真っただ中であるが、国は外出規制を見送り、経済を回すことを第一優先としている。これまでの自粛生活が長かったため、街に人が溢れ、特にサービス業において人手不足が顕著なようだ。

 これまで人手不足を補うため、外国人技能実習制度が活用されていた。この制度は1993年に創設された制度であり、本来の目的は、我が国で培われた技能、技術等を開発途上地域等へ移転する人材育成によって、当該地域の経済発展に寄与することを目的とした高尚な制度の筈であるが、実体は日本の労働力不足を補う意味が強かった。

 多くの日本企業が抱える人手不足問題があいまって、多くの技能実習生が日本企業で働いている。特に東京近郊の農業において若い人が農業を敬遠して都会に出て、現地の労働力不足が顕著であり、ここに技能実習制度が活用された。

 しかし、外国人労働者の雇用をめぐり、彼らに対する賃金の不払いや違法な時間外労働等の問題や外国人労働者が関わる事件、事故が多発する結果を招いた。技能実習の名前の下外国人を不当に安い賃金で雇用し、約7割以上で労働基準関係法令上の違反が認められることとなった。

 名目と実体の乖離が激しく、これを反省し2017年、新たな技能実習制度がスタートした。深刻な人手不足であると認められた産業分野において、外国人を労働力として受け入れざるを得なくなったのだ。この特定技能制度は、農業、介護、外食業、建設業、宿泊業、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、造船・舶用業、自動車整備業、航空業、漁業、飲食料品製造業の14種であり、特定技能と称してもほとんどが単純労働である。

 この制度は労働力として受け入れることが前提の制度であるため、 技能実習制度では不可であった単純労働が可能になったり、本人の希望によっては転職も可能になるなどの違いがある。これらの生産労働人口の増加はGDPの増加に資するであろうが、日本の生産性の低さの改善には貢献しないだろう。

 日本のGDPは世界第3位と高いが、1人当たりのGDPとなると2020年度日本は19位と低い。これは生産効率が低いためと説明され、長年の懸案課題になっている。兎も角、日本の生産労働人口の減少は外国人労働者の導入により幾分か緩和されるであろうが、生産効率の向上とは関係がほとんど無い。

 この為には単純労働者だけではなく、高度な知識、技能を有する労働者の積極的な受け入れが必要である。2022.08.10(犬賀 大好ー837)


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