ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

気仙沼のカフェ事情の一部

2014-06-29 23:39:58 | エッセイ

 南町喫茶マンボ、震災前には、通り一本が、マンボ通りと呼ばれていた、老舗の喫茶店、いま、元の店のほど近くに新装開店している。昔ながらの純喫茶風の、ステンドグラスを多用した風の内装。

 地物のイチゴを使ったイチゴババロアでも知られるが、あの濃いコーヒー。開店後、一回はお邪魔したが、その後、しばらく行ってない。港町のホテル観洋とかプラザホテルとかで宴会のあった帰りに、立ち寄って、あの濃いコーヒーを一杯飲むというのが習慣、ではあるのだが、いかんせん、飲みに出る回数がとても少ない。

 フェイスブック上で、近いうちに行くとかいっていながら、申し訳ないことだと思っている。

 南町と言えば、ヴァンガード。ここもしばらくご無沙汰していて、先日、久しぶりにお昼にお邪魔した。市内で勤務していたときは、昼食にそこそこ通っていたが、津谷のほうに4年間通っている間は、そうだな、打ち合わせ等で来た折に、都合、4回くらいは行ったかな。

 夕刻には、ときおり、立ち寄ってはいた。

 ヴァンガードは、カウンターの目の前で淹れるサイフォン式のコーヒー。ここも、濃い。そして美味い。私が、ものごころついたころから営業している。味は、ずっと変わらない。(マンボは、私が生まれる前からやっていると思う。コーヒーの味も変わらないはずだ。)

 つい先日、コーヒーを運んできてくれた店主(川原さん)に、まだ、津谷に通っているの?と聞かれ、いやいや、4月から、こっちに異動してきましたというと、や、その割に来ていないね、とチェックされた。いや、本庁じゃなくて、丘の上なのでというと、あ、ちょっと遠いかと。

 とは言いつつ、この金曜日に、本庁で所用があって、お昼に顔を出してみた。

 お昼と言えば、カレーや、ナポリタンのセット。サラダとコーヒー付きで500円。昔風のカレー、昔風のナポリタン、これが美味い、だけでなくて安い。先日は、そちらにせずに、ハンバーグ・セットを頼んだ。ハンバーグ1個と盛り合わせの生野菜と人参のグラッセ、ライスと、これにもコーヒーが付いて、550円。

 もちろん、何度も食べているメニューだが、久しぶりに食べて、これが、感動的に美味かった。手造りのハンバーグである。コーヒーもついて、550円。機械で落とす薄いコーヒーではない。注文のたびにサイフォンで、手で淹れる濃いコーヒーである。カウンターにいるヨシマサさんが、何十年と淹れ続けたコーヒー。掛け値なしに感動ものである。

 ちなみに、これらのセットは、ランチ限定とかではない。夜でも、残っていればだが、注文できる。

 ヴァンガードは、もともとジャズ喫茶。いまでも、BGMは、ジャズ。最近は、ライブこそやらなくなったが、たまには、CDではなく、レコードをかけたりもしないではない。

 翌日、土曜日、朝に妻を送る用事があったので、評判のモーニングを食しに、八瀬に足を伸ばした。

 気仙沼の西の山の中、北上山地の支脈に囲まれた盆地、現代の桃源郷、気仙沼市八瀬。

 そう、例の八瀬コーヒーである。

 山の中にも関わらず、しかも、通り抜けのできる街道沿いでもない(その先の山道が岩手県に通じていないでもないが、普通には通行しない、曲がりくねって未舗装の悪路である)のに、客足が絶えないという。

 土曜日も、すでに数組の先客が入っていた。私のあとにも、来客がある。

 実は、昨年のオープン以来、結構通っていたが、港町のKポートの開店以来、足を伸ばすことが減っていた。というか、よく考えると行っていなかった。すいぶん、久しぶりにお邪魔した。

 この店は、駐車場の上も下も田んぼだ。春先には、水が張られ、代搔きされて、その後、田植えされ、苗が伸びて、夏のあいだ、さらに伸びて、秋には、稲穂が垂れて、やがて収穫される。その、季節の移り変わりが美しい。

 そして、コーヒーも本格的だ。

 で、モーニング。

 トーストに、ジャム、サラダ、ゆで卵〈黄身を取り出して、味付けして、もういちど半身の白身に盛りつけたもの〉、そして、コーヒー。どれを口にしても美味い。街から15分ほどで来れるが、足を伸ばす価値は十分すぎるほどある。

 サンドイッチも数種あって美味しいようだ。

 Kポートと、アンカーコーヒーのことは、今回は書かない。

 ところで、家では、ペーパードリップでコーヒーを淹れる。ときおり、武蔵境の自家焙煎の珈琲店(コーヒーローストという)のものを買ってきたり、息子に買って送らせたりすることがあって気に入っているが、実は、スーパーで安い豆を買ったりもしている。豆のままですらなく、挽いて袋詰めにしてある安価なもの。特売ものも。ものによって味は違うし、もちろん、中にはちょっといただけないものもある。しかし、ペーパードリップで、自分で淹れると、ほぼどんな銘柄でも美味い。新鮮さがある。

 考えれば、ペーパードリップで、何十年も淹れ続けている。やかんも、先の細いものをどこかのスーパーで見つけて買って5~6年にはなるか。それまでは、普通のやかんで淹れていたが、注ぎ口の細いものは、やはり、扱いやすい。

 外で飲む時、私が自分で淹れたコーヒーと同等であれば、合格点と思っている。

 ここで、名前を挙げた気仙沼のカフェ、喫茶店は、言うまでもなく、合格点以上の店である。

 市外の方のため、念のため言っておくと、気仙沼人は、カフェについて、要求水準が高い、と思ってもらったほうが良い。


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