今朝の河北新報社会面で、原田勇男さんの詩の取り組みが紹介されていた。
仙台市内の認知症専門病院「杜のホスピタル・あおば」を運営する医療法人が、「認知症は人生の価値を低下させない」という理念の下、「認知症患者の人生を聞き取り、詩にして展示する活動を続けている」という。「詩という芸術になることで本人の尊厳を守る」のだと。
認知症については、本人も、尊厳と希望を持って生き続けることが、充分に可能であると、最近は、大きく見方が転換しつつある。そのなかで、この取り組みは大きな意義を持つものに違いない。
6月14~19日、仙台市青葉区のメディアテークを会場に「詩と写真の展覧会「フォトバイオグラフィー『道』」が開催され、「宮城県詩人会会長を務めた泉区の詩人原田勇男さん(86)が作った詩や同県栗原市の写真家小田島万里さん(40)が撮った参加者の肖像写真等を展示する」。
そこでは、たとえば、「70歳で(社交ダンスの)指導者の資格を取り、舞台公演や老人施設の慰問など人生を謳歌した」松浦芳枝さん(92)の聞き取りから生まれた、原田氏の詩「生きる喜び」が紹介されている。
「〈このかけがえのない地球で/人びとはいつもどこかで踊っている//〈中略〉生きるリズムを失うこともあったが/その時は自分の流儀で/新しいステップを踏み乗り越えた//人はなぜ踊るのだろうか/踊ることは生きる喜びだから〉」
原田さんの詩、そしてエッセイも、いつも的確に状況を把握し、的確な言葉で表現される。読み取る者にまっすぐに、その内実が伝わってくる。私として、学ぶべき表現者であり、先達である。
原田勇男 東日本大震災以後の海辺を歩く 未来社 - 湾 (goo.ne.jp)
樋口直美・内門大丈 レビー小体型認知症とは何か ちくま新書2023 - 湾 (goo.ne.jp)
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